1999年、フランスのユベール・べドリーヌ外相(当時)は米国が歴史上どの国も成し遂げられなかった類いのパワーを手に入れたと述べた。米国は絶大な軍事力を有し、世界経済を意のままに操った。同氏によると、さらに重要なのは米国の世界的なソフトパワー、つまり「考え方や概念、言語、生活様式を支配したこと」だった。絶頂期は長くは続かなかった。2003年のイラク占領で米国の軍事的耐久力の限界があらわとなり、2008年の金融危機では同国の金融システムのもろさが露呈した。そして世界における米国の優位性は今や、過去最大の試練に直面している。ドナルド・トランプ米大統領は軍事同盟を揺るがし、世界を相手に貿易戦争を仕掛け、ソフトパワーの重要な手段である対外援助を一方的に打ち切るなどしているからだ。
【エッセー】旧友遠ざける米国、中国は取り込みへ虎視眈々
トランプ氏の予測不能な外交政策、中国には「安定性」を強調するチャンス
有料会員限定
あなたにおすすめ