中国の習近平国家主席が古代ギリシャ史を学んでいたとは意外だった。習氏は14日の首脳会談でドナルド・トランプ米大統領に対し、いわゆる「トゥキディデスのわな」について警鐘を鳴らしたが、この歴史への言及にだまされてはならない。習氏の真意は、必要なら武力を用いて台湾を奪取するという中国のもくろみに干渉し、戦争を引き起こすリスクを冒さないようトランプ氏に警告することにあった。古代の偉大な歴史家トゥキディデスはペロポネソス戦争を分析し、勃興してきた新興国アテネが大国スパルタに恐怖を抱かせたことが戦争につながったと主張した。ハーバード大学の政治学者グレアム・アリソン氏は、台頭する国が既存の覇権国を脅かした結果、戦争が起きたことがこれまでの歴史の中で十数回あると指摘し、それを「トゥキディデスのわな」と呼んで注目を集めた。第1次世界大戦はその一例で、勢力を増しつつあったドイツが、欧州の覇権国だった英国を脅かした結果だとされた。