理工系女子、いわゆる「リケジョ」(理系女子)の躍進が目立っている。産業構造の変化で、女性専門職の需要が高まっていることもあり、理工系女子は就職にも強いとされる。研究や製品開発に女性の視点を活用したいと考える企業も多くなり、理工系女子の学ぶ環境を整える大学も増えている。独立行政法人 科学技術振興機構(JST)で、女性の科学技術への進出を推進している小舘香椎子氏に、理工系女子の現状と将来像を聞いた。
小舘香椎子氏(こだて・かしこ)
独立行政法人科学技術振興機構(JST)男女共同参画主監。工学博士、日本女子大学名誉教授。
研究分野は「光エレクトロニクス」。現在はJSTで女性の科学技術への進出、理工系を専攻した多様なキャリアパスの女性たちの環境づくりを推進する。
独立行政法人科学技術振興機構(JST)男女共同参画主監。工学博士、日本女子大学名誉教授。
研究分野は「光エレクトロニクス」。現在はJSTで女性の科学技術への進出、理工系を専攻した多様なキャリアパスの女性たちの環境づくりを推進する。
なぜこれまで理工系女子は少なかったのか。
「端的に言えば、理工学部で学ぶ身近な女性の先輩が少なかったことがあると思います。男子学生と共に大学などに進み、自己の能力を発揮しながら大学や企業で活躍できる場があるのか? 結婚や出産、育児などのライフイベントを乗り越えて、仕事と研究生活を両立していけるのか? そのロールモデルの存在が少なかったのです」と小舘香椎子氏は語る。
またその背景には、伝統的な性別役割分担(男性は仕事、女性は家事・育児)という意識の強さもあった。そのために理工系分野が得意でも、学びを深めるチャレンジの機会を放棄し、理工系を敬遠する傾向が多かったのだ。
だが時代は変わりつつある。「少子高齢化が急速に進む日本では、理工系女子の能力を十分に活用することが急務になっています。特に資源の乏しい日本で、科学技術創造立国としてのポジションを復活させるためには、彼女たちの活躍が必須なのです。多様化する市場や消費者ニーズに対応するため、専門職として理工系女子の採用に積極的になっている企業が多くなり、実際に成果も出始めています」(小舘氏)。