理系の論理的な思考力や
知識が必要とされる時代

 総務省の「科学技術研究調査報告」によると、日本の女性研究者数は14.0%(2012年3月末時点)と先進国中では最低水準。ちなみに米国では34.3%、1位のラトビアは52.4%と過半数を超えている(「平成24年度版 男女共同参画白書」内閣府)。 

 時代の要請を受け、政府でも理工系女子の増加を後押しするため、女性研究者の育成に向けたさまざまな施策が行われている。政府の狙いは、理工系の職種で男女共同参画を進め、女性の研究者や技術者を増やし、技術開発の視点や発想を多様化すること。少子化が進む中、優秀な人材を確保することなどである。民間でも将来の理工系女子を支援するため、大学とコラボして、女子中高生に研究や技術開発の最前線に触れさせる催しを行ったり、若手女性研究員が中学や高校で「出前授業」を実施したりする企業が増えている。独自の奨励賞を創設し、博士課程で学ぶ女子学生を支援する企業もある。

 では実際に理工系に進んだ女性たちは、自らの進路をどのように受け止めているのだろうか。文部科学省の「女性研究者支援モデル育成事業」を実施した、ある女子大の卒業生を対象にしたアンケート調査(06年度)によると、約80%が「理系を選択してよかった」と答えている。理由は「企業で男性と同等に仕事ができた」「論理的な思考力が人生において役立った」「ものづくりに携われた」などを挙げている。

「もはや理系であることは、結婚や子どもを持つことに特別な影響はなく、むしろ専門的な分野を持っているため、育児休暇を取っても復職を願う企業もあるほどです。また理系の進路には、研究などの技術職だけでなく、科学ジャーナリストや弁理士、サイエンスコミュニケーターなど、多種多様な活躍の場が広がっています」と小舘氏は指摘する。