採用担当者の7割強が採用業務以外の業務を兼務している

「優秀な人材は採りたいが、採用活動に割ける人手と時間がない」。これは、日本制御エンジニアリングに限らず、多くの中小企業が抱えるジレンマだ。

 求人検索サービスのIndeedの調査によると、企業の採用実務担当者の72.4%は、菅原社長と同じように採用以外の業務を兼務している(図1参照)。

 また、採用実務担当者が実際に採用業務に割けている時間は、規模の小さい企業ほど短くなっており、従業員300人未満の企業では35.5%しかない(図2参照)。

 一方で、採用業務には膨大な手間がかかっている。特に時間がかかるのが、面接を行うまでの各種調整業務だ(図3参照)。

 採用業務のうち、実に52.4%の時間が面接実施前のさまざまな調整業務に割かれており、最も重要な面接の実施・同席にかけられる時間はわずか16.1%しかない。

 優秀な人材を採用したいのに、人手不足のため採用担当者は他の業務と兼務せざるを得ず、最も重要なプロセスである面接に割く時間が限られてしまう。これではいつまでたっても優秀な人材を採用することはできないだろう。

自社にマッチした応募者数が2倍以上、面接した人数は3倍に

 この深刻な問題を解決できるかもしれないサービスの存在を菅原社長が知ったのは、2024年末のことだった。新卒・中途採用の求人広告で長年付き合いがあったマイナビの営業担当者から、マイナビ転職 Boosterというサービスを紹介されたのだ。

「中途採用の求人広告を掲載する『マイナビ転職』は以前から利用していましたが、マイナビ転職 Boosterでは、応募者の絞り込みや、面接の日程調整、各種連絡など、普段われわれが行っている採用業務の一部を代行してくれると聞いたので、一度試してみることにしました」と菅原社長は説明する。

 まずは“お試し”で、25年1〜3月の3カ月間、同サービスを利用してみた。同時期に、別の会社の中途採用支援サービスも並行して利用してみたが、4月以降も継続して利用しているのはマイナビ転職 Boosterだけだ。理由は明快で、上がってくる面接候補者の数が圧倒的に多かったからだ。

 マイナビからの面接候補者の数が多かった理由は大きく二つある。一つには、応募者を絞り込む段階で、マイナビの担当者が第三者の視点から面接候補者を幅広く選んでいるからだ。

「自分たちだったら選んでいないような候補者も上がってくるのですが、実際に面接してみると意外に良かったりする。第三者の視点で選んでもらうのも悪くないと思いました」(菅原社長)。人手と時間が足りないと、どうしても無意識に候補者を絞り込み過ぎてしまう。そんな“心理的な枠”にとらわれず、より多くの人材と出会えることにメリットを感じている。

 もう一つ、面接候補者の数が多かった理由は、マイナビがスカウトサービスも提供しているからだ。マイナビ転職 Boosterでは、求人広告への応募者から候補者を推薦するだけでなく、800万人を超えるマイナビの転職希望者データベースの中から、ユーザー企業にマッチングしそうな人材をスカウトし、候補者として上げてくれるのだ。

 ユーザー企業からあらかじめ聞いている採用要件を基に、マイナビの担当者が要件に合致する人材にスカウトメールを送付。応募があった場合、さらにマイナビ担当者が書類選考を行って、面接候補者をユーザー企業に上げる仕組みだ。

 広告とスカウトを併用することで、面接候補者数はマイナビ転職 Boosterを利用する前の3倍になったという。

「9人と面接をして、3人に内定を出し、そのうち1人を採用することができました。以前から積極的に採用したいと思っていた女性のエンジニアです」と菅原社長は効果を語る。

 採用業務のボトルネックとなっていた候補者への連絡やスケジュール調整は、全てマイナビが代行してくれるので、菅原社長と井上副社長は面接だけに専念できるようになった。 その効果もあって、以前の3倍もの候補者と面接を行うことが可能になったのだ。

「マイナビ転職 Boosterを利用する前は、忙しいときで月20~30時間ほど採用の調整業務に時間を取られていましたが、それがほぼゼロになったことで、一番重要な面接に集中できるようになりました。採用業務の負担が減り、より多くの人材と出会える機会が増えたのですから、まさに一石二鳥の効果です」と菅原社長は評価する。