戦略や組織体制など多方面での見直しが必要に
現在、世界経済は深い霧の中にある。次にどのような地政学リスク、その他のリスクが顕在化するかを予測することは困難だ。だからこそ、多様なリスクに備えなければならない。その一方で、日々のオペレーションもおろそかにすることはできない。こうした課題に対して、EYストラテジー・アンド・コンサルティングとEY税理士法人をはじめとするEY Japanのメンバーファーム(以下、EY)は、それぞれの専門領域に基づき、連携を通じて包括的な支援を行っている(図)。

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「例えば、日系グローバル企業の経営体制。連邦経営か中央集権かは一つの論点ですが、両極の間にはさまざまな形態があります。最近関心を集めているのは、世界を幾つかのリージョンに分け、各リージョンが自律的に運営するスタイルです。どこかの国で大きなリスクが顕在化しても、他のリージョンには影響が及びにくい。その場合でも、本社の役割は大きい。グローバルで何をどの程度まで統一すべきか、事業ごとの資源配分をどうするかといった判断は極めて重要です。本社の機能やスキル強化も欠かせません。こうした戦略策定から実行フェーズまで、私たちは幅広い領域を支援しています」と小林氏は話す。
EYがサプライチェーンの見直しをサポートする機会も増えているようだ。志田氏はこう説明する。
「サプライチェーンのプランニングにおいても、本社とリージョンの役割分担は重要なテーマです。本社が計画を立てるべき分野、権限委譲されたリージョン内で完結すべき分野があります。また、オペレーショナルな情報でも、その性質によって誰と共有すべきかという判断は変わってくるでしょう。当社はサプライチェーンのデザインやオペレーティングモデルづくりを、関税の観点を含めてサポートしています」
地殻変動ともいえる世界経済の動向を注視しつつ、多くの企業が新しい時代に合うオペレーティングモデルを模索しているはずだ。関税管理もその一つだ。
「今後、企業がグローバルサプライチェーンのデザインを変革させていく中で、関税管理もアップデートが必要になります。関税はサプライチェーンに占める非常に大きなコストであり、今後そのコストはますます上がっていきます。そうした中、いかにそのコストをサプライチェーンの川上から川下まで俯瞰的に抑え込んでいくかが、製品競争力の向上と市場アクセスの改善につながります。例えば、商品企画段階から関税を含めて検討し準備していれば、突発的なリスクにも対応しやすくなります」と大平氏。EYがこの種の相談にも対応できるのは、関税に特化した専門家が世界中にそろっているからだ。グローバルな専門知のネットワークは、EYの大きな強みである。
「最近の調査で興味深い結果がありました。トランプ政権の動きに対して、欧米企業の経営者は大きなショックを受けていますが、日本の経営者はそれほどではなかったそうです。これを危機感の低さと見るか、右往左往しない安定性と見るか、解釈はさまざまでしょう。パニックになる必要はありませんが、世界経済が転換期にあるという認識を持つことは重要です」と小林氏。日本企業の経営者の特性が冷静な思考力にあるとすれば、ボラティリティの高い世界と向き合う際にも大きな強みになるかもしれない。
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