【将来性は?】
脱プラ紙製品と木質バイオマスで未来を切り拓く!
「もはや製紙会社ではない」と宣言した同社は、広大な森林資源を保有する強みを生かし、その可能性を広げるため、木を原料とする新たな製品の開発に力を入れている。その1つが、「中期経営計画2027」(26年3月期~28年3月期)で発表したサステナブルパッケージ(脱プラスチック紙製品)の開発だ。
同社は、環境意識が高く、法規制も厳しい欧州で液体紙容器を開発・販売しているIPI社と、同じく欧州で環境配慮型紙包装を提供しているWalki社を買収。両社と自社の技術を融合させ、王子ホールディングスが築き上げたグローバルな販路を通じて、独自のサステナブルパッケージを世界に売り込んでいく計画だ。
より中長期的には、木質バイオマスビジネスを展開していく。これは、食糧用途と奪い合いになるトウモロコシやサトウキビではなく、木材を原料とするバイオマスから高付加価値製品を生み出し、石油由来製品を置き換える事業。広大な森林を保有し、「使った分は植える」という再生可能な原料供給ができる同社ならではのビジネスである。
直近では、王子製紙の米子工場で、バイオマスプラスチックの原料となる糖液と、SAF(持続可能な航空燃料)の原料となるバイオエタノールのパイロットプラントを稼働させている。木質由来糖液のプラントとしては国内初にして最大規模であり、知見を積み重ねて30年以降の本生産開始を目指す。
配当方針・自己株式取得計画・株主優待
3つの株主還元策!
王子ホールディングスでは、26年3月期より配当方針を見直し、配当性向を従来の30%から50%に引上げた。今期の配当は、25年3月期の1株当たり24円から12円増配し、36円とする予定だ。今年12月初旬の中間配当では18円を予定している。
また、28年3月期のROE8%を達成事項とする同社は、営業利益および純利益を増やすだけでなく、分母の自己資本を圧縮するため、自己株式取得を強化する。25年3月期に300億円、今期~28年3月期に1200億円を取得する計画だ。
株主優待制度は、「グループ製品カタログギフト(3月期)」と「植林活動応援イベント(9月期)」を2つを導入。前者は1000株以上(半年以上継続保有)でネピア製品がもらえ、後者は5000株以上で木製プレート送付と抽選で植樹会に招待する。

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