日本企業独自の
強いリーダーシップチームを
ラウンドテーブルのディスカッションでは、多角化企業における問題点も議論されました。素材から商品まで、いわゆる川上から川下まで統合した企業の場合、川上ではB2Bだが川下はB2Cとなり、相互の仕事内容を理解するのが難しい、連携が取りにくい場合があります。

多角化かつ各事業領域で川上から川下まで統合されている場合、事業領域のトップは、そもそもCxOではないため、事業領域のトップとCxOの間での共通言語が持てない状態になるのです。
事業領域の下に、会社によっては事業別のCxOを置くところもありますが、往々にして屋上屋を架すことになります。全体のグループCFOがいて、各事業部門にもCFOがいると、それぞれの役割分担が曖昧になり、意思決定プロセスも極めて煩雑になってしまいます。
どうしても日本人、そして日本企業は精緻に組織をつくりすぎるのですが、あまり効率的ではありません。階層を簡略化することも場合によっては必要なのです。
日本企業がリーダーシップチームを再構築するうえでの課題と今後の展望についてお聞かせください。
現在の日本企業の多くは、形式的にCxO体制を導入しても、実態は従来の縦割り組織のままという課題を抱えています。真の変革を実現するには、リーダーシップチームで何を議論すべきか、自社のビジネスモデルに鑑みメンバーにどのような要素が求められるか、次世代のリーダーシップチームをどうつくるかを真剣に考える必要があります。
私は多くのCEOやCxOにインタビューしてきましたが、成功している企業に共通しているのは、トップが強い意志を持って変革を推進していることです。形だけの導入ではなく、本質的な変革を実現するためには、経営トップのコミットメントが不可欠です。今後は、グローバル競争がますます激化し、日本企業もグローバルで通用する経営体制を築く必要があります。CxO体制とリーダーシップチームの再構築は、その第一歩となるでしょう。ただし、単に欧米の仕組みをコピーするのではなく、日本企業の強みを活かしながら、実効的な経営体制を構築することが重要です。
変革には時間がかかりますが、日本企業の生真面目さと実行力があれば、必ず実現できると信じています。重要なのは、形式的な対応に留まらず、企業価値向上という本来の目的を見失わないこと。そうすれば、日本企業独自の強いリーダーシップチームが構築できるはずです。
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企業価値の創出は、CEOを中心とした経営陣、すなわち執行サイドの役割です。執行体制を強化するため、CxO体制への移行を進める企業も増加しつつあります。
CxO体制の構築においては、日本企業の特性、さらには各社の実情に応じた体制の構築が不可欠です。
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◉企画・制作|ダイヤモンドクォータリー編集部
◉構成・まとめ|石澤理香子 ◉撮影|池上夢貢(GEKKO)、小嶋 裕