2015年から相続税も増税へ
二世帯・贈与も視野に
住宅取得する前に、増税基調にある相続税対策も一緒に考えよう。特例の拡充により、二世帯住宅の優遇が受けやすくなってきている。
基礎控除額引き下げで
課税対象者が一気に増加
これまで、相続税を支払うのは一部の富裕層と思われてきた。しかし、今年発表された税制改正により、2015年1月以降は一気に課税対象者が増える見込みだ。主な変更点は基礎控除額の引き下げ(図1参照)と、税率構造の細分化(6段階から8段階へ)、最高税率の引き上げ(50%から55%へ)など。
「もともとは所得税、相続税ともに最高税率が70%の時代がありました。それが一度50%まで下げられ、所得税については今年の改正で55%まで引き上げられました。ただその間に、住民税や社会保険料が増加しているので、すでに実質的な負担は70%に近い数字になっています。今後は相続税が、以前の水準まで引き上げられる可能性を考えておいたほうがいいでしょう」
評価額を抑えられる
二世帯住宅に注目
ただし、今回の改正は増税一辺倒だったわけではない。生前親と同居していたことを条件に、相続した自宅の土地の評価額を20%まで抑えられる「小規模宅地等の特例」の適用範囲が拡大され、居住用は240平方メートルから330平方メートルまでが対象に(15年1月以降の相続で適用)、また、独立型の二世帯住宅についても適用が可能となった(14年1月以降の相続で適用)。
親が住んでいる一戸建てがあるならば、新たに土地や分譲住宅を買うのではなく、親の土地に二世帯住宅を建てるのもいい。住宅購入費用を抑えられ、さらに相続税対策までできる。一石二鳥の選択といえよう。
生前贈与の特例による
資金援助で資産を圧縮
相続財産を圧縮するという意味では、住宅購入の資金を親に援助してもらうのも有効な手段だ。14年までは「直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課税制度」(表5参照)が利用でき、親や祖父母から受ける贈与が非課税となる。
「今年贈与を受けた人は、原則、来年の3月15日までに新居に住むのが条件。贈与の特例はリフォームにも使えます」
頭金が増えればローン借入額も抑えられるので、利息分も考慮すれば大きな得となる。親にとっても子にとってもメリットの大きいこうした制度をうまく活用して、理想の住まいを手に入れる助けとしたい。