アンソロピックは売上高でもオープンAIに驚くほど近づいている。既に年換算売上高は70億ドルに達しており、年末までに90億ドルに到達する見通しだ。これは、より知名度の高いライバルに対してユーザー1人当たりの売上高で大きくリードしていることを意味する。
両社とも大手テック企業からの投資という形で支援を受けている。オープンAIはマイクロソフトから、アンソロピックはアマゾンとグーグルからだ。こうした支援によってAI計算インフラの提供を受け、幅広い顧客層への製品展開が可能になっている。
しかし、アンソロピックの成長経路はオープンAIよりもはるかに理解しやすい。法人顧客は、コーディング、法的文書の起草、請求処理の迅速化などの分野でAIを使ったコスト削減用途を数多く考案している。これらの用途は将来拡大し、特に投資収益率の測定が容易になるにつれて、より多くの顧客をアンソロピックに引き寄せる可能性が高い。
法人顧客の間でアンソロピックへの需要がいかに高いかを示すように、マイクロソフトは9月、アンソロピックの主力モデル「クロード」を自社のAI「コパイロット」内で提供すると発表した。オープンAIとの提携関係があるにもかかわらずだ。
大衆市場の消費者向け収益モデルは、法人向けより曖昧だ。オープンAIはサブスクリプション料金の徴収以外に、そこから収益を上げる方法をまだ確立していない。同社は、利用回数の制限付きで動作が遅い無料プランのほかに、消費者向けに月額20ドルの「プラス」プランと月額200ドルの「プロ」プランを提供している。このようなサブスク料金では、最先端AIの開発と展開にかかる膨大なコストを相殺するには不十分だ。
オープンAIの消費者向け事業にとって明らかな収益源は広告になるだろう。しかし、オープンAIや競合他社がチャットボットに広告をどのように組み込むかは明確ではない。検索広告ほど単純ではないだろう。ユーザーはボットとのチャットにブランド名が表示されることを歓迎しないはずだ。オープンAIは広告収益モデルを模索する中で、グーグルと競争するという残念な立場にある。後者は独自の大衆市場向けAIツール群を持ち、広告事業ではるかに深く根を下ろしている。
もちろん、オープンAIもマイクロソフト経由と自社の両方で法人顧客に強く訴求している。オープンAIの膨大なユーザーベースと、より幅広い問い合わせへの対応経験が、法人ユーザーの間で優位性をもたらすという主張もある。
しかし、オープンAIの大衆市場での人気が、AIに楽しさや刺激よりも退屈で有用であることを求める法人顧客にとって、敬遠材料になる可能性もある。オープンAIは最近、成人がチャットGPTと性的な会話をすることを許可し始めると発表したほか、AI規制は少なくするよう主張している。同社が法人向け製品をより制約の多いものにしたとしても、その自由奔放な印象が企業への浸透を限定的なものにする可能性が高い。
一方、オープンAIの巨額の支出にもかかわらず、アンソロピックは企業が重視するAI分野でオープンAIと同等かそれ以上の能力を示している。AIモデルを評価するスタートアップのバルズAIは、アンソロピック「クロード」の最新版を、金融・法務・コーディングのタスクを組み合わせたビジネス重視のベンチマークでトップにランク付けしている。
「アンソロピックはこれらの企業向けエージェント型用途にレーザーのように集中しており、現在オープンAIと非常に競争力のあるゲームを展開している」とバルズの共同創設者レイアン・クリシュナン氏は述べた。
オープンAIとその目立つ経営者サム・アルトマン氏が最近、AI関連の注目を独占している。アンソロピックの事業見通しと、その主要投資家であるアマゾンとグーグルの抜け目なさの方が、より注目に値するかもしれない。
(ウォール・ストリート・ジャーナルを傘下に持つニューズ・コープはオープンAIとコンテンツライセンス契約を結んでいる)
(The Wall Street Journal/Asa Fitch)
※この記事はWSJにて2025年10月28日 07:48 JSTに配信されたものです。




