経営と現場をつなぐ勘所
パナソニックISのシステム導入のアプローチには、下に示したように6つのステップが想定されている。特に注力しているのが、最初の“アセスメント”である。目指すべき“あるべき姿”を描くステップだ。製造業の情報システム分野を担ってきた業務のノウハウが最も生きる部分でもある。
システムの要件が顧客側から提示される場合でも、それが本当に求める経営的な解をもたらすものなのかを独自の視点からチェックし、よりよいシステム構築のための提案も積極的に行っている。
門矢氏は「多品種少量商品を分類し傾向を見て品種の集約を提案するなど、経営にどうシステムを役立てるかといった視点から検討していきます」とパナソニックISの姿勢を説明する。ITを企画できる人材が不足しがちな中堅企業にとっては心強い味方になる。
実際に、グループの統合基幹システム構築のパートナーとして同社を選定した、売上200億円規模の精密機器の製造販売の企業では、選定理由として「現場業務における“通訳”がいらない」「現場の課題を一緒に考える熱意」、そして「ユーザー系システムインテグレータ」の3点を挙げている。製造業のさまざまな分野の業務に精通し、顧客と一緒になって、顧客起点で課題解決に取り組む姿勢が評価されていることがわかる。
上流でのアセスメントの
大切さをアピール
今年4月には、コンサルティング力をさらに強化するために、システムソリューション事業部の中に両氏が所属する専門グループを立ち上げた。営業とSEの部隊を融合させて多角的な視点からアセスメントを行う専門部隊だ。
「アセスメントは納品するシステムの品質を向上させるためのもの。それ自体で収益を上げることは考えていません」と平山氏はその位置付けを語る。同社では、システム要件の仕様書(RFP)の作成を支援することや税制改正のインパクトチェック等のアセスメントを提供している。「お客様とのアセスメント活動を通して、私たちの能力を見てほしい」と平山氏は語る。
今、日本の多くの製造業はグローバル競争の中で苦戦を強いられている。BTOやCTOの時代になり、個別生産と大量生産を組み合わせるハイブリッド型の製造スタイルへの対応も求められる。これまで以上にシステムを活用する必要性があるだろう。そこでは経営課題と製造現場の両方を理解し、システム導入についての豊富な経験を持つ同社のようなシステムインテグレータの協力が欠かせない。