「復興」という言葉はもういらない?
いわき・復興飲食店街で生まれた違和感

【第8回】2013年7月16日公開(2013年7月19日更新)
中村真理

 震災が地域経済を一時的に活性化している面もあるが、問題は解決していない。いわき市平商店会連合会の鈴木修典会長は、「中心部の飲食店は震災後、売り上げが20~50%増しの状態が続いている」。市内の人口は避難者で1割近く増えた。7000人と言われる原発や復興関連の作業員が長期滞在をするため、駅周辺のホテルは埋まり、チェーン居酒屋の新規開店などで空き店舗は大きく減った。居酒屋のアルバイト募集の張り紙には「時給1250円~」とあり、時給800円程度だった待遇は上昇しているという。しかし、鈴木さんは「原発も除染もどうなるかわからない。5年先が見えない町では町づくりもやりようがない」と嘆く。

復興って何だ
夜明け市場で生まれたもの

 午前1時近くに再び山越さんの店を訪ねると、常連の男性客が1人残っていた。楢葉町から避難し、建設現場で働きながら仮設住宅で1人で暮らしているという。1年前に初めて来てから、連日のように店に通う。男性客はビールを飲みながら、会社の同僚から「避難してきたやつらのせいで、道路が混む」、「事故が多くなった」と面と向かって言われると苦笑いをした。店で会った客に出身地を言わずにいたら、「避難者、ふざけんな」と言葉を吐かれたこともあったという。

 「復興ってあんまり考えたことがないなぁ。今一番嫌なのは、『避難民』て言われることかな。俺、いわきに来て初めてできた友達が山ちゃん(店主)なんですよ。地元の友達は避難してばらばらになった。でも、ここに来ると、顔見知りに会えるんですよね」

 ハロウィンパーティー、誕生日会、夏祭り……。店の中央に飾られたボードには、訪れた客たちの写真が貼られ、段々と増えている。

 「復興が遅れている」と繰り返されるが、福島の震災は3年目に入った今も続いている。いつ終わるのかもわからない。今の福島には、外から持ち込まれた「復興」と現実にズレを感じ、自分たちに本当に必要な「復興」を模索する人や街の姿があった。

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店長会議で看板に「復興」を残すと決めた

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