生産プロセスの見える化が
多方面でのビジネス価値につながる
AP-21による生産プロセスの見える化は、幅広い分野でメリットをもたらす。生産状況の見える化は、納期回答のスピードアップと精度向上につながる。在庫の見える化も重要だ。
「在庫が見えない場合、現場はどうしても多めに在庫を持とうとします。在庫が数値として示されることで、適正な在庫水準を維持しやすくなります」と多田氏。また、原材料や中間製品在庫がどこに、どれだけの数量あるのかを把握できるので、デッドストックの削減が可能で、面倒な棚卸作業の頻度を減らすこともできる。
顧客へのサービス向上や信頼関係の強化という観点も重要だ。多田氏は「ロットトレースが容易になるので、クレームへの迅速対応が可能。それは、顧客からの信頼向上につながります」と語る。
さらに、AP-21を経営の品質、スピードの向上に結び付けた企業もある。
「情報の一元管理により、従来は難しかった経営分析が可能になったというお客さまもあります。また、工程別の投入実績が正確にわかるので原価情報の精度も高まります。それは、意思決定のレベルアップをもたらすでしょう」(多田氏)
AP-21は周辺システムとの連携により、ビジネスにより大きなインパクトを与えることができる。各種帳票との連携は一般的だが、会計システムやMES(Manufacturing Execution System)との連携も容易。さらに、同社はビッグデータ分析ツールとの連携も予定している。工場内で生成される膨大な情報の収集・分析は、工場の安全・安定稼働に貢献するだろう。加えて、AP-21ハイブリッド版(仮称)の開発も進めていると多田氏は明かす。
「プロセス型と組立型、両方の形態を融合した生産管理システムを開発中です。このハイブリッド版が完成すれば、より幅広いお客様のお役に立てるはずです」と多田氏。旭化成グループのものづくりノウハウを詰め込んだAP-21の進化は、今後も加速しそうだ。