日本が突出している
消費者参加型や
クロスメディア戦略

 これまで東京で4回、そして今年初めて福岡でアドテックを開催した際、武富氏は海外からの主要な来場者が口をそろえて「日本のレベルがこれほど高いとは」と感心していたことに驚いたという。

今年6月に初開催の「アドテック九州」セッションより

 つまり、日本の企業がすでに行っているデジタルを活用した各種キャンペーンが、世界から率直に「レベルが高い」という評価を受けているのだ。

 例えば、非接触型ICカードを使ったマーケティング、CRM(顧客関係管理)に基づく実店舗での販売促進、消費者参加型の新商品開発など、日本の企業が取り入れているこれらの手法は、海外ではあまり目にすることはないと武富氏は述べる。

 また、ウェブデザインなどクリエイティブの品質や、テレビとネットを組み合わせた緻密なクロスメディア戦略なども、日本はトップレベルにあるという。

「こうした背景には、Wi-Fiネットワークなど通信インフラの安定性、網羅性が日本は格段に高いことがあると思います」(武富氏)

「アドテック東京2012」キーノートセッションより

 同氏自身、世界各地に出張する際に感じるのは、どこにいてもこれだけインターネットがスムーズにつながる国は他にないことだという。

 結果、日本ではモバイル端末が普及し、顧客の声を聞きたい企業にはまたとない環境が生まれているのだ。

 日本のデジタルマーケティングが評価される理由はもう一つ、人材の質の高さ、勤勉さにもあると武富氏は語る。

「欧米諸国には、著名な経営者が多いですが、日本は、ミドルマネジャー層が世界的に見てとても優秀、勤勉であり、レベルが高いと思います」