クラウドなら、こうした煩わしさを解消できる。月額課金が一般的なので、ハード・ソフトの購入にかかった初期費用も不要だ。また、事業の成長・縮小に合わせたユーザー数の増減も容易、かつスピーディーに実行できる。かつては、利用をやめるとIT資産の使い道に困ったものだが、クラウドの場合には契約を解除すればよい。グループウエアだけでなく、さまざまなITサービスを導入する際の敷居は、クラウドにより大幅に下がった。

 また、サービスの中身が自動的に拡充されるのもクラウドの特長だ。導入企業の側で面倒なことをしなくても、いわば勝手に機能が追加されたり使いやすくなったりする。ただし、その進化のスピードは事業者によって異なる。機能拡張のペースが遅いサービスもあるので、注意が必要だ。

 もう一つ見逃せないのが、スマートフォンをはじめとするモバイル端末の普及だ。こうした端末は消費者の間で利用が進んだが、今ではビジネス領域でも当然のように使われている。端末内のデータを遠隔から消去するリモートワイプ機能をはじめ、セキュリティ機能が充実したことで、ビジネス現場での利用が拡大した。営業やフィールドサービスなど社外で過ごす時間の多い業務現場でも、クラウドのグループウエアを使えばスムーズな情報共有ができる。

 また、モバイルとクラウドとの相性のよさも指摘できる。モバイル端末の機種は次々に登場しているが、これらに合わせた設定を企業が行うのは非効率。クラウド側で対応してくれれば、ユーザー側では余計なことを心配しなくて済む。これは、前述した運用上のメリットの一部である。

 クラウドとモバイルという追い風を受けて、導入企業が増えつつあるグループウエア。これによりコミュニケーション環境を再構築して、ビジネス効果を創出している企業は少なくない。