厳しい練習や努力は、通常苦痛を伴うものだ。厳しいトレーニングから逃げ出したくなったとき、「あいつもトレーニングしている。負けられない」と思うことは、大切な動機づけになる。あるいは、眠いのに勉強しなければならないとき、「寝てしまっては、あいつに負ける」と思うと、勉強にも身が入ることもあるだろう。それは、多くの人々にとって自分自身を高めるための要素になったはずだ。
モチベーションと純然たる敬意
ライバルがもたらす「2つの意味」
もう1つは、ライバルの存在に一種の清々しさを感じて、素直に賞賛する気持ちだ。スポーツでもビジネスでも、どんな世界でも同じだろうが、一生懸命研鑽を積んで何かを成し遂げるのは容易なことではない。
類まれな天賦の才能に恵まれている人もいるかもしれないが、おそらくそれだけでは大事を成し遂げることはできないだろう。それなりの研鑽が必要になるはずだ。ライバルとは、そうした研鑽をお互いに理解し合える、ほとんど唯一の存在と言えるかもしれない。だからこそ、互いに認め合い負けたくないからこそ、一層の努力もできるのである。
そこには、古くからの親友に勝るほどの「心の関係」が成立するかもしれない。田中投手と斎藤投手は甲子園で投げ合い、プロの世界でもライバルとして競い合えるようになった。田中投手は日本シリーズが終了した後、「これで、甲子園で斎藤投手に三振に取られたシーンを見なくて済む」と言っていた。そのシーンが、彼の頭の中にずっと残っていたのだろう。
今年のプロ野球では田中・斎藤両投手にとって、ある意味、とても残酷なことが起きた。かつて甲子園の決勝戦で勝利した斎藤投手は、今年のシーズンで大不振に陥り、多くの時間をファームで過ごすことになった。方や、田中投手は前人未到の記録をつくり、チームを日本一に導くと共に、自身の次のステップ(大リーグ挑戦)を引き寄せることができたからだ。



