日経平均6万円突破に浮かれる人が気づいていない「景気後退のシグナル」日経平均6万円突破も、日本経済は浮かれてはいられない...... Photo:JIJI

日経平均株価が終値で初の6万円台を突破した。株式投資をしている人なら、喜ばしいニュースだろう。しかし、景気や企業業績の先行きについては、やや慎重に見たほうがいいだろう。むしろ、いくつかのリスク要因を勘案すると今後、業績予想を下方修正する企業が増える可能性は否定できない。どういうことか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

日経平均株価が初の6万円台突破!
景気を楽観していい?

 日経平均株価が6万円の大台を超えた。米国とイランの停戦協議延長に関する報道があったことから、日本の景気や企業の業績に楽観的な見方が広がったようだ。

 しかしながら、225銘柄の単純平均である日経平均株価に比べて、株式市場全体の時価総額を基礎にする東証株価指数の上昇幅は大きくない。そのため、日経平均株価指数と東証株価指数にはかなり大きな乖離が生じている。

 その背景には、AI関連銘柄が買われ大きく上昇している一方で、原油価格や中東情勢に影響を受けやすい自動車株などの上昇幅が少ないことが挙げられる。投資の専門家からは、「今の日本株は、一部のAI銘柄が引っ張っているだけ」と指摘する声もある。

 現在、世界的にAI関連銘柄の株価上昇が顕著だ。AI分野への成長期待の高まりを追い風に、半導体メモリーや半導体製造装置などの銘柄が、買いを集めている。こうした傾向は恐らく当面続くとみられる。

 また、わが国では物価が上昇する局面であり、企業は値上げを行いやすくなる。インフレによる、名目ベースの売上高・収益のかさ上げ効果も期待できる。企業としては、増収増益の基調を維持しやすいともいえる。それは、株価の押し上げ要因になる可能性が高い。

 ただし、景気や企業業績の先行きについては、やや慎重に見たほうがいいだろう。むしろ、いくつかのリスク要因を勘案すると今後、業績予想を下方修正する企業が増える可能性は否定できない。一体どういうことかというと、日経平均だけでなくTOPIXにも着目すべきで、さらにそれらの乖離が“異常水準”にあることだ。