エネルギーとパワーが溢れる若いプレーヤーが、少しずつ経験を積み、勝負の勘どころを体得すると、体力で劣るチャンピオンを破ることは時間の問題となる。その意味では、スポーツの世界において世代交代は、とても自然なポジション継承のシステムだ。
ビジネスでの世代交代はわかりづらい
日頃から意識すべき「盛者必衰の理」
一方、政治やビジネスの世界では、必ずしも体力が重要なファクターにはならない。むしろ、時間をかけた経験や知識、人脈などがより大切な要素になる。ということは、政治やビジネスでのライバルの逆転劇は、年齢や体力などによってわかりやすい方法で継承されるわけではない。むしろ、それ以外の要因のほうが大きいだろう。
項羽と劉邦のケースでは、項羽が自身の圧倒的な戦闘能力を過信した面が大きいのだろう。項羽は勇猛果敢な戦法で、多くの人々を力によって抑えつけることを選んだ。劉邦は、当初抑えつけられる側にいた。しかし、項羽の方法論に賛同できない人々を糾合する格好で次第に台頭し、何度も項羽に敗れながらも、最終的には部下のサポートにすがって窮地を逃れる。
一方、項羽にはどこか自信過剰な面があったのだろう。あるいは、自分の実力に慢心する部分が潜んでいたのだろう。それはビジネスの現場にも言えることかもしれない。たとえば、かつて携帯電話の巨人だったノキアは、スマートフォンへの展開の遅れによって、新たに出現したライバル・アップルに王座を譲ることになった。
王者ノキアには、ある意味では「携帯電話王者」としての気の緩みがあったのかもしれない。王者とチャレンジャー、その両者の差は、“高い実力”+“慢心”VS“弱さ”+“挑戦者意識”だ。それが、この結果を生んだと言えるかもしれない。
だからこそ、人間には、「盛者必衰の理(ことわり)」の意識が必要なのだろう。常に、自身を前に向かって変革することが必要なのだ。田中将大選手と斎藤佑樹選手の人生逆転を見て、そんなことをふと思った。



