高市早苗首相Photo:JIJI

今のところ高市政権は、イラン戦争の経済への影響について国民に分かりやすく伝えているとは言い難い。韓国では、李大統領が「燃料の一滴一滴を節約し、公共交通機関を使ってエネルギー危機に対応しよう」と国民に呼びかけた。豪州政府は約1100億円の無利子融資で企業支援を万全にする。石油備蓄の放出は一時しのぎでしかない。食料品や生活用品が値上がりする中、パニックを防ぐためにも、「転ばぬ先の杖」の発想が、高市政権に必要ではないだろうか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

イラン戦争の影響に妙に楽観的な
高市政権は大丈夫だろうか?

 イラン戦争の影響について、今までのところ、高市政権は妙に楽観的なように見える。一部の国では、首相自ら国民に対してエネルギー資源の節約を訴えるなど、かなり戦争の影響を深刻に受け止める姿勢を明確にしている。

 日本政府は国民に安心感を与える意図で、楽観的に振る舞っている面があると想像はできるが、最悪のケースでは、イラン戦争の影響はかなり大きくなることが予想される。少なくとも、そうしたリスクの存在について、国民に理解を求めることが必要と考える。

 4月2日、高市首相は衆議院本会議で、国民に節約を呼びかける可能性はあると答えた。ただ、具体的な呼びかけなどについての言及はなかった。老婆心ながら、高市政権のスタンスで大丈夫か心配になるのは筆者だけではないだろう。

 イラン戦争の影響により、わが国の原油、天然ガス、肥料、アルミなどの調達不安は急速に高まっている。重要なポイントは、イラン戦争の行方が読めないことだ。先行きの予測が難しい以上、政府としては、それこそ最悪のリスクに対処する方法を考えておく必要があるはずだ。

 エネルギー資源の輸入だけでなく、自動車や和牛、抹茶など中東向け輸出の減少、航空燃料の急上昇なども国内経済に重大なマイナスが発生することも懸念されている。

 今後、仮に戦闘が収束したとしても、中東海域の安全が確立されるとは限らない。イスラエルの出方がどうなるかも不透明だ。イラン戦争を巡る事態が完全に好転し、安定しないと、経済全体に大きな制約がかかることになるはずだ。

 韓国、オーストラリア、欧州諸国などでは、政府が国民に窮状を伝え始めている。わが国でも、事態の深刻さを分かりやすく国民に伝え、リスクに対応する準備を進めることが重要だ。高市政権の楽観姿勢が、後手に回ることになりはしないか。