Windows XPのサポート終了が、2014年4月9日に迫った。Windows 7、8へのOS移行をまだ実行していない企業にとっては、「セキュリティの脅威」が間近に迫っているのだ。しかし、落ち着いて、適切な移行方法を選べば、まだ間に合う。それでは、効率よく移行するにはどのような方法があるのだろうか。

目前に迫ったサポート終了
1日でも早くOS移行を

 2014年4月9日、マイクロソフトは、Windows XP、Office 2003、Internet Explorer 6のサポートを全世界で終了する。したがって、Windows XPを搭載しているPCは、Windows 7またはWindows 8へ移行しておく必要がある。

 このこと自体は多くの企業が認知しているはずだが、まだ移行していないというところも少なくない。その理由の大半は、「3月末までに実施する予定で、今はまだ検討中」というもの。しかし中には、「サポートが終了しても、その日から困るわけではない。PCが動かなくなったときに、順次買い換えていけばよい」と考えている人も少なくないのではないだろうか。

 前者の「まだ検討中/準備中」という企業は、少しでも早く実行に移すのが望ましい。3月末に近づくにつれて駆け込み需要が集中する。OS移行をサポートするシステムインテグレータも、手が回らなくなる可能性が高い。社内各部署も年度末は多忙で、OS移行のためにPC利用をストップさせる時間的な余裕を見出しにくい。少しでも早く方針を決め、対策を講じたほうが有利である。

「サポートが終了すると
その日から困る」

 後者の「サポートが終了しても、その日から困るわけではない」と考えている人に対しては、「サポートが終了すると、その日から困る」ということを強く訴えておきたい。

図1 OSの違いによるセキュリティの差
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 Windowsのセキュリティ対策は、時代とともに進化しており、最新のOSほど強固である。例えば1000台当たりのマルウエア感染率を見ると、Windows 7の感染率は、Windows XPの6分の1以下に減った(図1)。Windows XP は、Windows 7や8よりもはるかに脆弱なのである。

 Windows XPが開発され、発売されたのは12年前。当時はまだ、「ネットワーク常時接続が当たり前」ではなかった。したがって、今日のネットワーク環境で見ると、セキュリティホールがたくさん存在する。これまでは、セキュリティパッチなどの修正プログラムを迅速にあてることで対応してきた。しかし2014年4月9日以降は、修正プログラムが提供されなくなる。

 攻撃を防御できずに侵入を許し、顧客の個人情報を漏えいする結果になれば、1000万円規模の損失につながる恐れがある。マルウエアに感染してPCが乗っ取られ、取引先への「加害者」になったりすれば、長年にわたって積み上げてきた信頼関係が崩れ、入札の指名停止などの事態も招く。今日のOS移行への投資は、セキュリティリスク、すなわち今日の経営リスクを回避するために必須の投資なのである。

 しかも、プリンタ、バーコードリーダ、カードリーダ、ハンディターミナルなど、PCに接続する機器、そして、会計ソフトなどのソフトウエアも、Windows XP対応製品はどんどんなくなっていく。4月9日までにOS移行を完了しておくことは、経営視点で見ての緊急課題なのである。