顧客と接する上で、マニュアルを作成していない企業はまれだろう。しかしながら、マニュアル通りの対応は、社員が独自に判断する機会を損ない、柔軟性を欠くことにもつながる。一方、接遇においては、さまざまなことを瞬時に思いめぐらし、考えることが不可欠である。今回は、「業務能力×接遇力」で最高のサービスを創り上げることについて考えてみたいと思う。
浜田純子
モアグロウ 代表
モアグロウ 代表
企業の接遇力を高める研修を何度も請け負っている浜田純子氏は、接遇には、商品やサービスについての十分な知識とそれを説明できる能力、さらにはそれを適切に提供できる能力が求められると語る。
「例えば、お客さまが家電売り場で購入を検討されている場合、店員に質問するたびに上司に確認しているようでは、どんなに対応が丁寧であっても、その知識不足を不満に思うでしょう。お客さまに心の底から満足していただく接遇を行うためには、商品・サービスの内容を過不足なく説明し、在庫を確認し、配送を手配するといった適切な業務運用も不可欠な要素となります」
心のこもった対応はもちろん重要だが、それに業務知識や業務遂行能力が合わさって、企業のブランドを形づくるほどの接遇がもたらされるといえる。
ブランドイメージは直接的・間接的に多くの利益を生み出し、企業にとって非常に重要な価値を持つことは言うまでもない。それが、社員の接遇によってもたらされ得ることを、経営者は強く意識すべきであろう。