接遇力が上がることで、
企業にもたらされる価値とは
接遇力が上がることによって、社員の人間力の向上も期待できると浜田氏は語る。
「接遇力の高い社員は、お客さまが、今、どういう気持ちでいらっしゃるのかを感じ取る能力が高いです。また、自分が何をすれば、お客さまが快適な気持ちで過ごせるのかを瞬時に気づくことができます。何をすれば喜ぶかを自発的に常に考えているからです。そのような感覚は、お客さまだけでなく、他の社員に対しても働くようになるため、必然的に社内での人間関係も良好に保つことができるようになります」
また、接遇力の高い社員がいることは、単に接客の場面だけでなく、社内環境の改善、お客さま視点での新商品や新サービスの開発など、生産的な取り組みによい影響を与える。接遇は売り上げに直結するだけでなく、企業のブランド力向上、社員の人間力向上を通じて、継続的な成長にも大きく貢献するのである。
「顧客満足の原点は、お客さまを第一とし、どのようにすれば満足していただけるかを常に考えることになります。とりわけ、長い時間、お客さまと社員が同じ場所にいるような医療機関では、より快適に過ごしていただく必要性が高くなります」(浜田氏)
病院の待合室や携帯電話の窓口対応など、顧客を長く待たせてしまう場合への対応は、社員個人の接遇力はもちろん、社員全体が示す接遇力が意味を持つ。サービス業や小売業では「業務」に加え、「接遇」も重要な柱と考えなければならない。企業経営者は、「業務」と「接遇」の両輪がしっかりと回転してこそ、大きな成長を遂げることを忘れてはならない。