「感じがいい」「サービスがいい」という評価を生み出し、顧客と永続的な関係を築き上げる「接遇力」。前回は接遇力を高めるためのアプローチとして「気づく」「聴く」「届ける」の三つに注目したが、今回は身に付けた接遇力がさらに大きな効果をもたらすために、押さえておきたい八つのポイントについて解説する。
【1】常連びいきよりも、
公平性を心地よく感じる
当然ながら、顧客にはさまざまなタイプがいる。丁重な扱いを求める人、フレンドリーな対応を好まれる人、年配の人、若い人……。しかし、どんな顧客であれ、接遇は誰に対しても公平でなくてはならない。
モアグロウの代表で、接遇力の重要性を広く企業に伝えていくセミナーを続けている浜田純子氏は言う。
モアグロウ 代表
「例えば、ホテルや旅館でプランによって部屋や料理に差がある場合でも、社員が対応を変えるようなことがあってはいけません。どんなに些細なことであっても、他の人と違う扱いを受けることはお客さまの気持ちを害します。また、例えば病院で、看護師などがご年配の方に対して『大丈夫?』『元気だった?』と敬語ではなく、くだけた調子で声をかける場面もあります。親しげな気持ちを伝えているのかもしれませんが、親しみやすさは言葉づかいを崩さなくても表情や口調で十分伝えることが可能です。基本的に、接遇に年齢は関係ありません。これまでの人生で各人各様の立場でプライドをお持ちですから、言葉遣いや気づかいも、年齢にかかわらず同じにすべきでしょう」
【2】プライドを傷つけられることを
極度に嫌がる
「お客さまに恥をかかさないことや、お客さまのプライドを傷つけないことも、接遇の大切なポイントです。お客さまのクレームはプライドを傷つけられたことにより不快感を持った場合であることが少なくありません。特に日本では、自分の恥を深刻に受け止める傾向があります。しかし、言葉の使い方や接し方をひと工夫することで、お客さまが、自分のことを気づかって、こうした言い方や接し方になったのだと気づかれると、そうした配慮を示した社員に対して大きな信頼を寄せてくれます」と浜田氏。
場合によっては、相手のプライドを傷つけてしまうこともあるということを頭の片隅に置きつつ、「心で聴く」ことは、真の接遇を行う上で欠かせない。