「これ以上のものは世界のどこにもないであろう」──シルクロードの命名者でもあるドイツ人地理学者リヒトホーフェンは、瀬戸内海をそう称賛した。当時の風光明媚な景色を今も保ち続ける瀬戸内海を、国内外に向けて発信しようという動きが始まった。その動きをさまざまな角度から盛り上げているのがJTB中国四国だ。

JTB中国四国
代表取締役社長 青木尚二

 多島美に代表される自然、温暖な気候、世界遺産、文化・芸術施設、海の幸など、多様な魅力を持つ瀬戸内。だが、これまではその観光素材としてのポテンシャルを十分に発揮できているとはいえなかった。

 そこで、瀬戸内の魅力を国内外に広く発信するために、2013年4月、瀬戸内沿岸の兵庫、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛の7県が連携し「瀬戸内ブランド推進連合」を設立。広域観光を共同で促進し、観光ブランドとしての認知度向上を図ることで、瀬戸内エリアの交流人口を拡大し、経済活性化につなげようとしている。

官の動きをさまざまな
角度からバックアップ

工場見学とグルメが一緒になった日帰りバスツアー「大人の教育旅行」。中国四国9県を巡るコースもある

 その一環として今年3月21日から10月26日まで、広島県と愛媛県によって「瀬戸内しまのわ2014」が開催される。域内で行われる祭りやサイクリング大会、クルージングなどの各種イベントを、一つのテーマで統一し、ブラッシュアップすることで交流人口の拡大を目指す取り組みだ。

 こうした動きをさまざまな角度からバックアップしているのがJTB中国四国だ。例えば、「瀬戸内ブランド推進連合」のプロモーションやウェブサイト運営を受託したり、「瀬戸内しまのわ2014」のイベント実施やウェブサイト運営も同社が担っている。

 また、地元ならではの観光資源を生かした着地型商品(観光客が現地発着で参加できる旅行商品)の企画・造成も行っている。瀬戸内の魅力を生かしたスポーツツーリズム、イベント開催など、MICE※1への取り組みも強化している。この4月から半年間にわたって実施するJTBグループのキャンペーン「日本の旬」では、四国をテーマにし、全国からの送客につなげる構えだ。

 青木尚二代表取締役社長は、瀬戸内ブランド化への意気込みを語る。 「エーゲ海も素晴らしいが、瀬戸内海も負けません。鏡のような静かな海に夕日が当たってキラキラと輝いているさまは感動を呼びます。これを多くの人に伝えることがわれわれの役割。観光立国の実現に向けて東京プラスワンのエリアとなれるのは瀬戸内海だと信じています」

※1 MICE……国際的なミーティング、企業インセンティブ、国際会議や大型イベント、展示会などの総称