データジャーナリズム 対談

【第2回】対談 勝田敏彦氏(朝日新聞社メディアラボ室長補佐)× 西内 啓氏(統計家)

なぜ今、ジャーナリズムにもデータなのか。
研究者の実証とデータを分析・視覚化する
次世代報道の使命を考える

著者・コラム紹介
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西内: 新聞ジャーナリズムに携わる方は定性分析のプロなので、もう一つの手となる定量分析を学ぶには、統計学の中でも疫学を参考にするといいと思います。疫学のゴールはつまり、因果関係を考えることです。

 結果があった時に、はたしてどんなデータがあって、どんな分析をすればどこまでこの原因でこの結果が起こったといえるのか、という推論が成り立ちます。そこがわかっていると、単純なデータの集計ではなく、その背後にある因果関係の視点が見えてくるのです。

勝田:私たちが間違いやすいのは、現象と現象の間に相関があることはわかっていても、因果関係まではわからない場合です。そういうことはたくさんあるわけですが、見出しで「こうだからこう」と読まれてしまうこともあるんです。これは悩ましいところです。

メディアラボは今後
どう展開していくのか

西内:勝田さんは所属される「メディアラボ」を、今後どう広げていかれますか? 新聞ジャーナリズムのなかでどんなことに挑戦したいですか?

勝田:例えばすでに、大学などに震災当時の新聞記事をデータとしてお渡しし、それを解析することで、時間の経過と共に記事の内容がどんなふうに変わっていったのか、この記事は何を言いたいのか、などということを言語学的に解析する共同研究を始めています。

 将来はうちの記事をAPI(Application Programming Interface)として公開し、広く利用してもらうことなども視野に入れています。

西内:かつては莫大な研究費のある最先端の学者にしか、データ解析はできませんでした。けれども、今では学者でなくとも、ある程度の知識と環境があれば、誰でもできるようになった。高度な解析は専門家に任せるとして、今後は、国民のだれもがデータを分析し、その分析を受け取ることができる時代になると思います。

 今はまさにそこへ到達する移行期です。そうした場合、研究者がこれまでいかに定量的な研究を公表してきたかということは、ジャーナリズムにも役に立つ気がしています。そうなると、ジャーナリストと研究者という職業が必ずしもまったく異なるものではなくなるのではないでしょうか。

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