老若を問わず日本人男性の大きな悩みが「薄毛」。20代、30代で薄毛が進行し、仕事も手に付かないほど悩む人や、中高年以降に薄毛になり「歳だから仕方がない」とあきらめる人もいる。薄毛の原因「AGA(男性型脱毛症)」とはどのようなものか。それが心身の健康に与える影響とは。頭髪治療の専門機関であるメンズヘルスクリニック東京(旧 城西クリニック)の小林一広院長に、東京大学医学部客員研究員で女優の石井苗子氏がインタビューした。

大人の男を悩ませる薄毛の原因
AGA(男性型脱毛症)とは?

石井 最近、TVのコマーシャルなどでも目にする「AGA(エージーエー)」ですが、どういうものでしょうか。薄毛とは違うのでしょうか。

小林 「薄毛」は髪が薄い状態を表す言葉のことです。どこからがイケメンかが医学的に判断できないのと同じで(笑)、薄毛にも医学的な判断基準はありません。一方、AGAとは「Androgenetic Alopecia」の略称で、日本語では「男性型脱毛症」と言います。成人男子に見られる、頭髪が薄くなっていく症状のことです。

 一般的な症状としては、だんだんと額が後退してきたり、頭頂部が薄くなったりなどの症状が生じてくるのが特徴です。

 脱毛症ですから、抜けてしまったらそれで終わりというわけではなく、見た目は薄くなっていても近づいてよく見れば細くて色が薄い「軟毛」が生えています。髪は一定期間で、伸びては抜けて、また次に新しく生えていくというサイクルを繰り返しています。生え替わった毛がそれまでと同じ太さや長さに育たず、「軟毛」が増えてくると、遠目では薄毛が目立つようになるわけです。