そんな山王商店街に「石巻マルシェ」は新しい風を送り込んだ。被災地から出てきた若者たちが、何やら面白そうなことをしている。おいしい海産物や野菜があるらしい。評判が評判を呼び、遠くから足を運ぶ客も出てきた。近所に住む高齢者が「手伝わせて」と無給で店番に立つ。店を閉めた後は、スタッフみんなで飲み会を開く。噂を聞きつけ首都圏に住む石巻出身者が集まり、地酒を酌み交わしながら故郷談義に花を咲かせる。

 商店街の関係者は言う。

 「最初は支援のつもりでしたが、いまはこちらが助けてもらっている。震災の後、ゼロから商売を立ち上げた被災地の若者たちは、いろんなノウハウやアイデアを持っている。よそ者の彼らが入ってきたことで、手詰まりだった山王商店街に活気が戻った気がします」

 南三陸の人々の思いは同じだ。

 「いつまでも復興支援の善意に甘えてはいられない」

 問われているのは自分たちの実力。真剣勝負のビジネスで南三陸を盛り立ててみせる。強い意志を持つ彼らは「気の毒な被災者」ではない。「敗れざる挑戦者」だ。(文中敬称略)


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