企業がデータセンターを確保する動きが活発になってきている。これまでの首都圏を中心としたデータセンター需要から、東日本大震災以降、地方でのニーズも増加している。データセンター需要の背景とユーザー企業における選定基準について、NTTファシリティーズの星島惠三氏、三菱総合研究所の谷田部智之氏に聞いた。
“動脈硬化”が進みつつある
ITバブル期のデータセンター
――データセンターの新設・移設が活発になっています。背景として、東日本大震災後のメイン/バックアップセンター分散の動き、情報インフラの拡充、幅広い業種におけるIT投資の活性化などがあると聞きます。あと数年でオフプレミス※1 の需要がオンプレミス※2 を上回るともいわれており、企業が自社のIT設備を外部に移転する動きが広がっています。
2015年以降、ITバブル期に建てられたデータセンターが更改時期を迎える
出所:NTTファシリティーズ資料
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出所:NTTファシリティーズ資料
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星島 確かに、震災後にバックアップセンターの分散を検討する企業がたくさんありました。
また、IT投資の活性化により設備更改を進めているケースも増えているようです。その背景には「2015年問題」ともいえる根本的な理由があります。
1990年代後半のITバブル以降、大量供給されてきたデータセンターの設備(UPS・空調等)が老朽化し“動脈硬化”を起こしつつあるのです。
※1 他社の所有する外部のインフラにシステムを置き、運用・管理を共有・委託すること
※2 自社で所有するインフラにシステムを導入し、運用・管理を行うこと