あらゆる情報がネットを通じて瞬時にやり取りされる現代のビジネスシーン。ICTの進歩速度はまさに驚異的だが、いかにツールが発達しても、「顔を合わせて対話すること」以上に人間の感情を揺さぶるコミュニケーション手法はまだ生まれていない。フェイス・トゥ・フェイスの仕組み作りによって社員同士のチームワークを高め、社員が変わり、仕事の質が向上したことで業績アップにつながっているオフィス戦略の好例を見ていこう。
分散していた社員に必要だった「フェイス・トゥ・フェイスの仕組み」
日本ビジネスシステムズ(以下、JBS)は、マイクロソフト社との厚い信頼関係を持つパートナー企業として活躍する国内有数のシステムインテグレーターだ。2014年8月、同社はそれまで都内複数のオフィスに点在させていたグループ5社を、都心の新ランドマークとして開業したばかりの超高層ビル『虎ノ門ヒルズ』内にオフィスをすべて移転させた。東京タワーが間近に見える中層階の2フロアに、総勢1500名のグループ社員を一極集中させた形だ。
それほど多くの人員が一か所に集まったにも関わらず、新オフィスには間仕切りとなる壁がほとんどなく、広大なオープンスペースが大部分を占める。グループ会社ごとにエリアを分けることもせず、代わりに部門の機能によってエリアをまとめた"機能別フリーアドレス制"が導入されている。
例えば営業部は営業エリア内で、総務部は総務エリア内で自由にデスクを使うというように、会社の枠を超えて同職種の人員を集約することで、グループ間の情報共有と業務の効率化を促進するレイアウトになっている。
フロア内の動線を作っているキャビネット類は、どれも"立ち話するのに丁度いい高さ"に統一され、どこでもパッとPCを広げて軽いミーティングができる。また、エントランスには下階と上階をつなぐ内階段が設けられており、エレベーターを使わずとも2フロアを素早く行き来できる配慮もされている。こうした工夫のひとつひとつが、すべてオフィス内での気軽なコミュニケーションを促し、一体感を生み出すための施策だ。
牧田幸弘 代表取締役社長
「今回のオフィス移転の最大の狙いは、徹底的にフェイス・トゥ・フェイスのやり取りを増やすこと。もはやフリーアドレス制は当たり前ですが、それ以上に大切なのは、本当にちょっとしたことで社員同士が気軽に会話でき、相談しあえる環境作りです。いちいち会議を設定しなくても立ち話でパッと情報を共有できるスピード感、会社や部署というフレームを超えて技術やアイデアを持ち寄れる距離感、そういうものを浸透させたかった」。そう語るのは同社の牧田幸弘代表取締役社長だ。そのオフィス戦略の根幹には、「顔を合わせて会話することが、人間同士の信頼関係を創り出す」という信念がある。
そんな牧田社長のオフィス戦略を象徴しているのが、新オフィスに設けられた大規模な社員食堂、通称「カフェテリア」だ。
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