『「胸キュン」で100億円』(KADOKAWA)価格1300円で発売中

「胸キュン」で100億円――。2月末から書店の店頭に、このセンセーショナルなタイトルの書籍が並んでいるのを、もうあなたは目にしただろうか?

 その表紙に用いられているのは、ソファーに座ってくつろぎながら、スマホでゲームに興じている若い女性を真上から撮影した写真。こちらもタイトルに負けず劣らず、極めて印象的なビジュアルである。

 もっとも、表紙を眺めているだけでは、具体的に何が書かれているのかイメージしづらい。気になってページを開いてみると、次第にタイトルの真意がつかめてくる。「胸キュン」とは、スマホでプレイできる恋愛ゲームのことだった。しかも、それは女性向けに的が絞られたものだという。

女性向け恋愛ゲームで
年商100億を突破

 この女性向け恋愛ゲームを手掛けているのは、1999年9月創業のボルテージだ。2006年に女性向け携帯恋愛ゲーム第1弾をリリースし、以降は同ジャンルに特化。創業からわずか15年で年間100億円の売上高を稼ぎ出すまでに成長している。そう、タイトルに出てきた数字はここにつながるのだ。

 ガラケー(携帯電話)からスマホへと機器が進化を遂げる中、同社はモバイル恋愛ゲーム会社として国内最大手の地位を確立。海外に目を向けても同ジャンルでこれだけの売上高を誇る企業は他に例を見ないことから、世界一の座も手中に収めていると言えよう。

 2011年には東証一部市場への上場を果たす一方、8年連続で「日本テクノロジーFast50」を受賞し、史上最多獲得記録を保持している。ちなみに同賞は、テクノロジー、メディア、テレコミュニケーション業界の急成長企業を表彰する世界的なプログラムである。累計で2600万人にも達する女性の心を捉え、業績を拡大させ続けてきた結果が客観的にも広く認められているわけだ。

(※ボルテージが提供中の、携帯キャリア、公式月額サイト登録者数、SNSプラットフォーム向けソーシャルアプリ登録者数、およびAppStore、GooglePlayで提供中のアプリのインストール数、各タイトルの合計数)

 いったい、何がボルテージ快進撃の原動力となっているのだろうか? 結論から言えば、新卒でもいきなりヒット作品を生み出せる「フォーマット(仕組み)」が構築されていることが同社最大の強みである。入社したばかりでキャリアゼロの新人であっても、それに当てはめて進行していけば訴求力の高い恋愛ゲームを製作できるという完璧なマニュアルが確立されているのだ。