医薬分業は進んだけれど
肝心な服薬指導は……?

 国の方針もあって、診断や治療は病院や診療所で行い、薬は院外の薬局で受け取る「医薬分業」の仕組みが進んできた。院外処方にしたほうが医療機関のメリットが高くなるように診療報酬で誘導し、薬局の調剤報酬も医薬分業へのインセンティブが与えられた。

 その結果、2013年度は医薬分業率が67%まで進み、病院や診療所などから調剤薬局に移った医業収入が「調剤バブル」と揶揄されるまでになったのだ。

 実際、国民医療費に占める割合を2009年と2012年で比較してみると、病院や診療所は73.1%から72.2%に、歯科クリニックは7.4%から6.9%と減少傾向にあるのに対して、薬局の調剤だけが15.5%から17.1%に増えているのだ。

 国が医薬分業を進めたのは、薬の専門家である薬剤師が、医師の処方した薬の安全性や有効を確認し、患者の健康被害を防ぎながら、国民が使う薬剤費の削減を期待したからだ。

 ところが、医師の処方通りに薬を渡すだけで、ろくな服薬指導をしていない調剤薬局も残念ながら存在する。本来なら、処方せんの受け付け時に確認しなければならないおくすり手帳の有無も確認しないまま、患者に断りもなくペラペラの手帳にシールを貼って渡す調剤薬局もある。

 当初、薬歴の未記載は、一部の調剤薬局チェーンでの悪質事例と思われていたが、他のチェーン薬局でも同様の問題が発覚。ここまで来ると、一部の薬局の問題ではなく、「氷山の一角」ではないのかと心配する声もある。

規制改革会議でも
医薬分業の疑問が噴出

 この報道に先立ち、1月28日に行われた内閣府の「第41回 規制改革会議」では、3月12日に開催予定の「公開ディスカッション」の議題に、急遽「医薬分業における規制の見直しについて」が追加テーマとして加えられることになった。

 薬局での調剤基準が形骸化していて、院内処方よりも患者の負担が大きいわりに、負担に見合うサービスの向上や分業の効果が実感できないと、国民から指摘されているというのが追加の理由だ。

次のページ

診療報酬の算定要件を満たすだけの薬歴では無意味

TOP