顧客と共に進める
CSR活動

千趣会
経営企画本部・広報部 部長
加藤千香氏

 このような仕組みを実現させているのは、長い期間をかけて培ってきた千趣会と顧客との強い信頼関係だ。同社広報部部長の加藤千香氏は話す。

「千趣会は創業時から“グループ購入頒布会”という形式で商品やサービスの提供を行っています。これはオフィスや事業所などの“お世話係”が、一緒に働いている従業員から注文を集め、代金を回収し、商品の頒布をしてくださるという仕組みです。千趣会は、ボランティアであるそのお世話係の方を通じてお客さまに商品をお届けし、お世話係の方を通じてお客さまのご要望やご意見を聞き、それを反映させた商品を提供してきました。その仕組みによって、当社とお客さまが、売り手と買い手というそれぞれの立場を越えて、共に価値を生み出していくというスタンスが実現しました。そのようなスタンスは、個人購入のベルメゾンが主力事業となった今日も変わっていません」

 現在でも千趣会は、きめ細やかな商品紹介、顧客から寄せられる意見への真摯な対応、緻密な返品システムなど、「徹底して客を気遣う」ビジネスで知られており、その「気遣い」の文化が、顧客からの強い支持を集め続けている。
そのような取り組みの中で築かれてきた顧客との強い絆が、千趣会の社会貢献への賛同とその結果の募金となり、CSR活動の原資となっている。つまり千趣会は、「顧客との関係」という資産をCSR活動に結び付けることに成功しているということだ。そのような、いわば「顧客の意志をくんだCSR活動」に成功している企業は、少なくとも日本にはこれまでほとんどなかった。