「働きがい」がある会社には
「働きやすい」がある

“信頼できる人事” が
「働く意欲」を生む

「働く意欲」に大きく影響を及ぼすもう一つの要素、「働きがい」については、社内の人事制度が関係してくる。キョーリンでは、社員一人ひとりの役割に応じた、納得感のある評価や処遇を行うための制度改革を推し進めているという。

「オフィスの見通しが良くなった利点のひとつとして、評価制度の客観性が高まったという点もあります。壁の多いオフィスでは"数字"以外の結果が見えづらいので、どうしても直属の上司の評価だけが判断基準になっていた。でも、新オフィスでは『誰がどれくらい頑張っていたか』が周囲に向けて可視化されたことで、プロセスの評価がしやすくなったんです。チーム全員がフェアに切磋琢磨できる環境を作ることも、社員の意欲を高める職場づくりに欠かせない要素です」(松本常務)

 人事を信頼できるからこそ、社員は納得して働くことができる。こうした社員のメンタリティの変化は、人事部のドアを叩く(実際にはドアはなくフラットだが)人数が増えたことにも表れているそうだ。

「以前のオフィスでは、一般社員が自分から人事部を尋ねてくることはほとんどなかった。多分、学生時代の職員室みたいなイメージで、ドアを開けづらかったんだと思うんです。それが新オフィスに移ってからは、色々な相談をしにやって来る社員が増えました。仕事の悩みだけじゃなくて、ライフステージに応じた人生相談をする社員もいる。それらを親身にサポートすることが社員のモチベーション向上に直結するわけですから、人事としては非常にマネジメントしやすくなったと感じますね」(松本常務)

 社員が効率よく動ける環境を整えることが「働きやすさ」につながり、信頼感に裏打ちされた人事評価とサポートが「働きがい」を生み出す。その2つが満たされたとき、社員は「働く意欲」を実感できるというのが、キョーリン的な人材マネジメントの好循環というわけだ。そのためのツールとして、効率的でありながらも「やさしい空間」であるオフィス環境は効果的に活用されているようだ。

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