人財が会社の生命線と見定め
社内にPDPカレッジを創設

 PDPは人財育成システムでも定評がある。どのような視点で人財を育てようと考えているのだろうか?

「企業を強くするには、時間をかけて自前で人を育てるということをトップが決断する必要があります。私は人材ではなく人財を育てたい。それは単にパフォーマンスが優れているだけでなく、組織をマネジメントでき、自分に代わる次の人財を育てることのできる人です」

 杉元社長は、社内に人財育成の土壌を作るために、「SUGIMOTO'S VOICE」という社内向けのブログを毎週発信し、PDPの企業文化を言語化して伝え続けている。そして、理念を体現する活動をしたメンバーを評価して報酬を払う仕組みを作った。

 さらに、メンバーが実力をつけていくための環境として、PDPカレッジシステムという社内大学を設置しており、社会人として必要なリーダーシップやプレゼンテーションのスキル、ロジカルシンキング、さらにはマネージメントに必要なさまざまなスキルまでをメンバー全員が必修科目として学ぶシステムを運営している。

未来のリーダーの育成と
グローバル展開を本格化

 PDPは第二創業期を経て、業績、社員数とも順調な伸びを続ける。杉元社長の描く未来は「2020年までにPDPを日本ナンバーワンの感動創出企業にすること」である。

東京から1時間の場所にあるホテル「スケープス ザ スィート」。ラグジュアリーな空間で日常から解放される。屋上には海を眺められるジャグジーが併設されている。

 新たな事業展開も始まっている。8年前に立ち上げた葉山の「スケープス ザ スィート」は、4年前からミシュランの4つ星を獲得している。しかし、ホテルはまだ1店舗のみ。15年以降はホテル事業のさらなる成長を目指す。さらに、この感動の舞台をもっと広げて顧客との接点を増やし、6事業による生涯顧客化を図っていきたいと考えている。

「定量的な目標としては、PDP全体の年間顧客数をディズニーランドの10%に置いています。ディズニーランドの顧客は14年が3100万人でした。したがって、PDPは年間310万人の顧客数を目指します。これを達成できれば、社会的なインフラとしても重要度が増していくと考えています」

 グローバル展開も積極的に進めている。すでに韓国への出店を果たしているが、アジアを中心として海外進出をさらに加速させる。「腹のすわったミドル100名計画」の一環として、1、2年後からメンバーを異動や研修で海外に派遣することを予定しているという。

「PDPがまだ認知されていない海外エリアで、自分たちの存在感をどのように示していくかをゼロから考えることにチャレンジさせます。また近年、大手企業が進めているのが、成長が見込まれるアジアで、それぞれの地域特性などに応じてどのようなビジネスチャンスがあるかを見出すという研修トレーニングです。PDPでもそういった研修システムを採り入れ、グローバルで活躍できる未来のビジネスリーダーを育成していきます」

 PDPを200年継続する企業にすること。それが杉元社長の最終目標だ。今、そこへ向かって着々と地歩を固めている。

(取材・文/嶋康晃、撮影/倉部和彦)


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(杉元崇将 著/ダイヤモンド社/定価1500円+税/5月1日刊行予定)

近年、企業内でビッグプロジェクトを担うイントレプレナー(社内起業家)が注目されている。著者は、企業を成長させ存続させるのはトップの力だけではな く、そこで働く社員たちの熱量の総和だとの持論をもつ。“大多数の社員”から抜け出し、企業を内部から変革できるようなトップ1%の存在になることは、き わめて意義のある生き方だと著者は強調する。本書は、社会での自己実現を目指すすべてのビジネスパーソンにとって必読の一冊だ。詳しい内容はこちらから。