信頼できるプロの
サポートが有益

──弁護士などプロのサポートは必要ですか?

長谷川 もちろん、有益だと考えています。相続税の申告書を正確に作成することは、至難の業です。財産の評価や各種特例・優遇制度の適用の可否判断、税額の計算などは簡単にできるものではありません。

 また、相続税納付のための準備や財産評価額の圧縮策などの検討には、さまざまな制度と具体例に精通するプロこそ、頼りになることでしょう。相続税の納付期限までに全てを終えて、相続人にスムーズに財産を引き継がせるためには、プロによる対策が不可欠と言っても過言ではないと思います。すでに相続が始まっている場合はスピードが求められますから、なおさらです。

──プロを選ぶ際、どのようなことに気を付ければよいですか。

長谷川 相続対策は、長期にわたって検討して実行していくものです。そして、家族や親族、財産などについての情報をプロと共有しなければなりません。ですから、じっくりと話を聞いてくれる人、話しやすい人を選ぶことが大切です。セミナーや講演会といった機会を利用して、信頼できるプロを探してはいかがでしょう。ご自身で積極的に行動を起こしていただければと思います。


■事業承継対策にも使える「相続時精算課税」の条件緩和


事業承継では、算定された株式の価格によって、贈与税や相続税の負担が大きく異なることになる。長谷川弁護士は「税金対策としては、相続時精算課税を活用して、株価が低い時に承継させることも有効」とアドバイスする。退職慰労金を支払うなどして会社資産を減らし、株価を下げたところで贈与するというものだ。相続時精算課税は、2015年1月の税制改正で、従来より条件が緩和され、贈与者の対象年齢が65歳以上から60歳以上になり、贈与を受けることのできる者は20歳以上の推定相続人に加えて孫も対象となった。この結果、2世代先を見据えた対策での活用も可能に。非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度も拡充されている。「ご自身のケースでどのような制度を使うことができるかプロに相談し、対策に役立てていただきたいですね」(長谷川弁護士)