インターネットのトラフィックは激しく上下している。個々の企業レベルで見ても、同様だ。例えば、地震や集中豪雨のような災害が発生すれば、自治体や交通機関のWebサイトにアクセスが集中する。ECサイトであれば、テレビなどで紹介された商品のページに大量のトラフィックが押し寄せることもある。
サービスの停止は機会損失となるだけでなく、企業としての信用を大きく低下させる。こうした認識のもと、アカマイのインフラを活用して自社のインターネット環境を強化する企業が増えている。
ECの分野では、楽天をはじめ大手EC事業者の多くがアカマイのソリューションを活用している。
「トラフィックの上下動が激しいECサイトを、いかに安定的に運用するか。また、ユーザーにストレスを与えない、サクサク動く環境も重要です」と徳永氏。移り気な消費者は、ECサイトの反応が鈍ければ買物をやめてしまう。サクサク動くかどうかは、サイトの売上を左右する重要な要素だ。多くのEC事業者がアカマイを選ぶ、大きな理由の1つがここにある。
小売業全体で見ても、リアル店舗とECなどを統合するオムニチャネル化、あるいはO2O(Online to Offline)への取り組みを強化する企業が増えている。ここでも、高品質のインターネット環境が求められる場面は多い。
災害時にこそ高品質な
ネットワークが必要になる
次に、政府や自治体、公共機関。この分野では、先に触れたライフライン情報を提供するために、アカマイのソリューションを導入するケースが目立つという。
「東日本大震災の際、多くのWebサイトにアクセスが集中してサーバーがダウンしました。福島県の場合も同様です。この経験を踏まえて、福島県はアカマイのソリューションを導入。緊急時にも確実に情報を提供できる基盤を整えました」(徳永氏)
同じ理由から電力会社や鉄道会社、バス会社などライフラインに関わる企業の多くが、アカマイのソリューションを採用している。
一方、金融の分野では、セキュリティについての懸念からアカマイを導入する企業が増えているという。徳永氏は「これまでは、DDoS対策をほとんどしていなかった企業が多いと思います。しかし、アタックを受けてサービス停止を余儀なくされたケースは日本でも増えており、お客様の危機意識も高まっています」と語る。