大量のIoTデータを
確実に収集する基盤にも
製造業の分野でも、アカマイのソリューション導入は進んでいる。3D CADのような重いコンテンツを含め、多様な情報をグローバルで共有するためのインフラとして活用されているようだ。また、近年関心の高まっているIoTの分野でも強固なインフラが求められている。
「製造業の多くの企業が、ビジネスモデルの転換または高度化を検討しています。製品を売って終わりという従来モデルから、今後は販売後のサービスでも稼ぐ、あるいは利用料課金モデルへのシフトが進むと見られています。その際には、製品に搭載されたセンサーが生成する膨大なデータを、確実に集める必要があります」
お金に関わるデータに欠損があっては、新しいビジネスモデルは成り立たない。特に決済に関係するデータを収集するインフラとして、アカマイに注目する企業は多い。すでにIoT分野においては、アカマイのインフラを活用した実証実験を含め、いくつかの先進的な取り組みが動き始めているという。
増大するネットワークに
単純な設備増強では追いつかない
以上は一部の例だが、様々な産業分野でアカマイのソリューションを活用する企業は増えている。一方で、アカマイは外部企業(パートナー)との協業によるサービス強化にも積極的だ。
パートナーには大きく2つのタイプがある。1つはクラウド事業者である。
「いま、ビジネスアプリケーションのクラウドへのシフトが進んでいます。アプリケーションの動きが遅ければ、業務効率に悪影響があるでしょう。そこで、クラウド事業者が当社のソリューションを埋め込んだ形でクラウドサービスを提供するというモデルが生まれました。当社にとっては、ホールセールという形です」と徳永氏は説明する。
もう1つ、システム・インテグレーターとの協業も拡大しつつある。例えば、企業内のイントラネットで経営者が語る戦略を動画配信するといった事例が珍しくない。企業内のコンテンツはリッチになり、トラフィックは増える一方だ。
「増大するトラフィックを運ぶために、単にネットワーク帯域を拡大するというアプローチは大幅なコスト増を招くだけでなく、爆発的なアクセスには結局対応できません。しかし我々の技術を上手に活用すれば、ネットワークコストを抑え、急な変動にも耐えることができます。そのために、システム・インテグレーターと当社が協業してお客様にソリューションを提供しています」と徳永氏。インターネット環境を知り尽くしたアカマイがビジネスに貢献できる分野は、ますます広がっているようだ。
(取材・文/ダイヤモンドIT&ビジネス)