東洋水産

カップ麺にイノベーション!?
成熟した市場に革新の波が来た!
旨さの追求に4年の歳月をかけたメーカーの本領発揮

著者・コラム紹介
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特許技術「生麺ゆでてうまいまま製法」の誕生

『マルちゃん正麺(袋麺)』の麺は、生麺の状態からそのまま乾燥させることで、家庭でゆでたときに生麺の食感に戻るように設計されている。それが特許技術の「生麺うまいまま製法」。カップ麺の場合、お湯を注いで数分待つだけで「生麺をゆでた状態」になるのが理想だが、では、ゆでた麺を乾燥すればいいかというと、話はそう簡単ではない。

 「ゆでた麺は加水率が高く、それが生麺らしい食感になるのですが、水分を多く含んだまま乾燥させると麺が大きく収縮してしまいます。お湯を注いでも元の状態に戻すのが難しいため、これまでのカップ麺の麺の多くは、ゆでるのではなく蒸してから油で揚げるか、蒸したものをそのまま熱風で乾燥させるかのどちらかが主流でした。

「たくさんの人に、おいしいと言っていただきたい、という気持ちがすべての原動力でした」

 ご家庭でも街のラーメン屋さんでも麺はゆでます。そのようなおいしさを追求するために、生麺をゆでてから乾燥して、お湯を注ぐだけで元に戻る麺をつくればいい。ゴールは早い段階で見えていましたが、ここがもっとも苦労した部分でもあります」(神永氏)

 キーワードは「多孔質」。麺の表面には穴(窪み)があり、お湯を注いだときに水分が入ることで元に戻るようになっている。一般的な麺は大きめの穴がポツポツとあけられているが、『マルちゃん正麺 カップ』の麺には小さな穴がたくさんあるという。

 原料を加工する際に微粒子を加えることで、ゆでた麺を乾燥させたときに小さな穴がたくさん開き、水分を飛ばす。お湯を注ぐと、そこから水分を吸収して元に戻る。その結果、従来の蒸してから乾燥させる製法に比べ、表面はなめらかでコシのある、まるでゆでたてのようなおいしい麺となるのだ。これが特許技術「生麺ゆでてうまいまま製法」で、『マルちゃん正麺 カップ』の核となる技術である。

1970年代以来のイノベーションが起きたワケ

76年にノンフライ麺が出てからは、「麺」そのものにかかわるイノベーションはなかった。マルちゃん正麺カップが第3の波となるか! ※日本即席食品工業協会のデータを元にダイヤモンド社作成
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 即席カップ麺が誕生したのは1971年。76年にノンフライ麺が登場して話題となったが、以降はレトルト具材の採用、多様なフレーバー展開、人気ラーメン店とのコラボ企画などはあっても、製法そのものに関わる大きな技術イノベーションはなかった。今回の「生麺ゆでてうまいまま製法」は70年代以来の大きな変革といえる。ここで疑問なのは、なぜ東洋水産がブレイクスルーを成し遂げられたのか。そんな質問をぶつけると、神永氏はしばらく考えた後、こう口にした。

 「発想の起点をどこにおくのか、だと思います。この事業はいわゆる装置産業であり、どんなに素晴らしいアイデアがあっても、生産設備がなければ実現できません。新商品の開発でも、これまでは「既存の設備でできるもの」という枠を、無意識のうちにはめていたのではないでしょうか。

『マルちゃん正麺(袋麺)』も『マルちゃん正麺 カップ』も、既存の設備では実現できない麺を使っていますが、「これをつくりたい」という思いが先にあり、実現するために生産設備を一新しました。自由な発想とそれを許す社風、そして経営層の決断力があるからこそ、今までにないカップ麺ができたのだと思います」

 生産設備を一新したため、カップの大きさや形状も独自に決めることができたという。まさに「開発者冥利に尽きる」(神永氏)プロジェクトだったようだ。

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