アスクルとYahoo! JAPANが提携して実現した日用品のECサイト「LOHACO(ロハコ)」が好調である。その背後にはどのようなデジタルマーケティングの仕組みと、それを支える組織があるのか。キーマンが明らかにする。

成長とともに試行錯誤を
行ってきた組織体制

アスクル
ECマーケティング本部
ECマーケティング& ビッグデータ統括部長
成松岳志

 LOHACOは、2012年10月にサービスを開始した。アスクルが持つロジスティクスの強みをベースに、当日配送も実現し、サイトの累計利用者も15年7月時点で200万人を超え急成長をしている。

 現在はLOHACO専任部隊として動いている成松岳志・ECマーケティング本部 ECマーケティング&ビッグデータ統括部長の部門も、サイトを成長させるための組織作りにさまざまな試行錯誤を行ってきたという。

「LOHACOは開始から15年10月15日で3年となりましたが、組織は細かく変化してきました。立ち上げ当時は、アスクルのBtoB通販の部門との兼任の人間がほとんどでした。その当時は、商品系部門、サイト運営部門、IT部門、データ分析部門などが関わっていましたが、デジタルマーケティングと明確にした部門はありませんでした。

 その中でそれぞれの役割の部門をどう統合していくかなど試行錯誤を行ってきました」。サイトの成長の中でお互いの部門の業務を理解していないと、相反する提案や矛盾があるまま進めてしまうこともある。さまざまな業務チームの融合の中でLOHACOを支える組織も成長をしてきた。「現在、データ分析を行うチームとデジタルマーケティングを実施しているチームは同じ部門となっています。データの分析はお客様の購買結果に対しての示唆を得る。デジタルマーケティングはお客様の購買に対してアクションをすることがミッション。この2つが一緒になっていることが現在は非常に大きなポイントだと考えています」(成松氏)

 デジタルマーケティングの成功にはPDCAサイクルをいかに速く回すか、が重要ともいわれている。分析を行うチームとアクションを行うチームが一緒にいることは、まさにLOHACOの急成長を支えているといえる。

トップマネジメントが
毎日数字を見る文化

 お客様に対するアクションを行う前提となるデータ。LOHACOの誰もがそれらすべてを不可欠なものと認識し、日々データと接している。このようなデータドリブンの文化はどのように作られたのだろうか。

「LOHACOのビジネスに関しては、当初からトップマネジメントがLOHACOから入るあらゆるデータに関心を払っていました。エンドユーザーがどこに満足し、どこに不満を持っているかをデータに基づき議論していました」(成松氏)

 マネジメントの判断に必要となる指標をダッシュボードという形でまとめていたが、より現場に近い情報を共有するため、現在ではトップマネジメントが直接「Adobe Analytics」でサイトに関わるデータを確認するようになっているという。

「トップマネジメントからのデータについての要望も、日々追うごとに多くなってきています。トップマネジメントを行っている人で、データが嫌いな人はいないのではないでしょうか。見られるデータ指標が少ないと、その中で判断をしようとしたり、解釈をしようとしたりしてしまいます」(成松氏)

 より正しい判断をするためにデータを利用する。トップマネジメントが実践しているからこそ、組織の文化もすぐにできあがったという。

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