商品部も一丸となった
デジタルへの取り組み

 デジタルマーケティングというとサイトの運営やターゲティングなどに注目しがちだが、LOHACOでは商品の導入や販促キャンペーンなども行う商品部も一緒に推進を行っている。

「BtoBで半年に1回のカタログ発刊というサイクルに慣れている商品部にとって、BtoCでネットショップというLOHACOはビジネスのスピードも違い数字の見方やPDCAサイクルなどが大きく違ったため、意識合わせに少し時間がかかりました」(成松氏)。現在では商品部の誰もがデータを分析し、見ない人はいないという。

「どのマーチャンダイザーも、やり方を変える必要性を早く感じるようです。その中でも特に率先してチャンレンジをしようとする人は伝道師的な役割を担っています」(成松氏)

 現在ではサイトのデータを商品部のさまざまなシーンで利用されているという。セグメントごとに閲覧されている商品の傾向やサイト内検索されるキーワードなどは“宝の山”だという。このようなところから多くの企画やテストが生まれているそうだ。

サイトの成長を
支えるテスト

 PDCAサイクルを回すカギとなるのがテストの実施である。LOHACOでは「Adobe Target」を利用し、平均で数十、多い時は100を超えるテストやターゲティングがサイトで同時進行している。

「A/Bテストを実施しないとわからない、データだけだと解釈によってどうとでもなってしまう部分もあります。データによっては効果があったようにも、なかったように見えるものもあります。それを声の大きい人間が『これは効果がありました』というと、それがあたかも真実のように広がってしまう可能性があります。 従来、勘と経験と度胸やコミュニケーションといったものが優先されてきたものを、テストを実施していくことが合理的に解決してくれることになりました」(成松氏)

 LOHACOでは、こうした勘や思い込みを打ち砕くテストがサイトをオープンして約半年後にあったという。「テストで得られる想定を超えた結果は“お客様は何を求めているのか””お客様はサイトで何をしたいのか”といったいろいろな疑問をスタッフが持つようになりました」(成松氏)

 思いとは逆のことを顧客が求めている場合もある。それが認識されたことで、テストをする文化が急速に進んだという。

 テストをする文化とともにターゲティングの施策も非常に多く行っているLOHACOは、どのように推進をしていったのだろうか。

「以前にアドビ システムズのコンサルタントに聞いた『正しいお客様に、正しいタイミングで、正しいコンテンツを出していくこと』という話を、社内のトレーニングでは必ず伝え、社外への提案を行う際などにも伝えるようにしています。

 このような考え方をしていないと、0か100で語ってしまうことが業態的にも多くなってしまいます。たとえば、商品を提供するのにAなのかBなのかということを議論しがちですが、Aがほしい人が20%で、Bが欲しい人が80%ならば、その比率でAとBを出し分ければよい。こういう考え方をできるようにしていくことを意識しています」(成松氏)

 お客様ごとのニーズがわかればメッセージやコンテンツの出し分けを行えばよい。当たり前のことだが、データ的裏づけは担当同士がそのニーズを理解するのに大いに役立ったという。現在ではアクセス元の地域の天候などの状況に合わせた出し分けやサイト来訪者が過去に閲覧した商品に基づくターゲティングなどその手法は多岐にわたっている。

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