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「顧客の創造」がマーケティングの目的である

デジタルマーケティングのコンサル現場から
まずは「データ・ドリブン」の食わず嫌いを捨ててみる

【プロフェッショナルからの提言】
安西敬介(アドビ システムズ シニア コンサルタント)

安西敬介
2015年12月3日
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 その際に、組織的な取り組みとしてキーワードになるのが「デジタル・レディネス」。つまり、デジタルを通じたお客さまとのコミュニケーションについて、議論や検討が十分に準備されているか、である。DMを通じたコミュニケーション領域の進化といっても、企業内には商品企画、販売、広報などお客さまと接するさまざまな部署がある。従来は、それぞれの立場で接触や交流のあり方を考えてきたのだが、DMでは、それらをウェブ技術によって統合する「インタラクティブなコミュニケーションツール」を生み出すのである。

 これはある意味で、組織のあり方や事業の展開に厳しい要求を突きつけてもいる。それぞれがバラバラに取り組んでいては、統合的でインタラクティブなコミュニケーション領域を創造することは難しいからだ。そもそも、企業としてお客さまに向き合う一貫した姿を担当者が共有できているのか。DMの効果を高めるには、一貫した姿に触れてもらい、そこからコミュニケーションを創造しなければならない。

「DM・COE」の設置で
各部門の思いを集約する

 DMのために全社一丸、一貫とも言える姿を誰がコントロールするのか。だからこそトップダウン的な取り組みが必要なのは言うまでもないが、それでは結論が単純すぎる。DMへの取り組みを強めている企業のケースで見られるのは、さまざまな試行が続いているということ(だからこそDMには、従来の企業組織に与える衝撃も大きくなる)。CMOの下にCTOが配されていることもあれば、“CXO”スタイルで「X」部分にお客さまとのコミュニケーションを統括するような人材を配してみたり、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を設けているケースもある。

 私が各種の支援で話すのは、「まずデジタルマーケティングCOE(中央組織:Center of Excellence)を決められてはいかがですか」ということだ。マーケティングやITなどの関連スタッフによるDMの専門部署で、DM関連を集中管理する。そこから課題を探るのである。ITの技術者だけでなく、マーケティングのプランナーやクリエイターなどが集まり、会話ができる環境をつくることで、自社のDMの課題だけでなくDMの組織のあり方そのものも考えてみる。

 DM・COEを置くのは、組織的なインフラを構築することが目的ではない。ここは勘違いしてはならない。あくまでも「ITを使って自社に貢献できるマーケティングとは何か。やってみたいことは何か。それを支えるにはどうしたらよいか」が主テーマである。IT部門の人がやってみたいことがあり、マーケティング部門の人がやってみたいこともある。両者が互いの思いを共有し、それらを実現するための方法を探る。それらの取り組みを支援するのがDM・COEだ。

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顧客の創造とは、自社の顧客基盤を拡大することである。そのためにはマーケティングとイノベーションが不可欠である。顧客第一主義や顧客のセグメンテーションへの盲信から抜け出し、イノベーションを軸に顧客との新たな関係性の構築をすすめる企業と、マーケターの考え方を探る。

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