トップは、固定観念を捨てる

 私は常に、「固定観念を捨ててください」とお願いする。マーケティングは従来、「勘・経験・根性」の3Kで仕切られてきたが、一方で、「こういう分析をしてみたい」「こんな施策は可能だろうか」という思いに、「できないと思うんだよ」と絶対言わないでほしい、と。なぜならDMの最大の魅力であり威力であるのがデータのランダムな検証ができることであり、データ・ドリブンの神髄はそこにあるからだ。「まずやってみよう」という姿勢で取り組んでもらえれば、自身でも信じられないほどの結果や予測が出ることに驚かれるだろう。

 それは突き詰めれば、DMに対する企業風土や文化を醸成することであり、その課題に最も大きな責任を担っているのがトップである。現場はすでにDMの衝撃を十分に認識している。その認識を、経営管理層のDMについての無理解ゆえに抑え込んでしまってはいないか。まず、考えるべきは、この点である。

(構成・まとめ/船木春仁 撮影/有光浩治)