羽田CGの集中在庫で納期短縮・在庫削減する
【日本ライフライン】
ヤマトグループに物流全般をアウトソーシングすることで、大きな効果をあげている1社が日本ライフライン。同社はEPカテーテル、バルーンカテーテルなどを自社生産するほか、心臓弁膜症の治療に必要な生体弁・機械弁、ペースメーカーなども取り扱う国内大手メーカー。全国300ヵ所の代理店を通じて医療機関に製品を提供することがおもな仕事だ。
これまで物流拠点を自前で運営してきたが、自社生産の拡充や販売の急増などを受け、約1年前にヤマトグループへの物流アウトソーシングに踏み切った。取締役業務本部長の黒沼孝之氏は「全国の患者様にできるだけ早くお届けすることが我々の仕事。緊急性が高い手術なども多いため、営業所にも在庫を持っていたが、そのために効率が悪化することが課題だった。トータル在庫を削減しながら緊急の要請にも対応する――その解決をヤマトグループに求めた」と語る。
新体制では羽田CG内に設けたロジスティクスセンターで集中在庫する方式に切り替え、営業所への直送率を大幅に高めた。商品物流管理部長代理の平野智昭氏は「羽田という好立地に加え、物流センターとターミナルが同じ施設内にあることで、物流工程をワンクッション省くことができ、配送リードタイムの短縮につながった」と効果を実感する。緊急品の配送でも、全国4000カ所の宅急便営業所まで製品を送り、ディーラーの営業マンが最寄りの拠点でピックアップすることが可能になった。
同社の製品はひとつひとつが高額なのに加え、「ひとつのモデルで70種類に及ぶものもある」(黒沼氏)など、患者の体の大きさなどに合わせて多くのサイズバリエーションが必要になる。また、手術に合わせて事前に複数の機器を病院に届け、術後に使われなかったものを返却する〝オペ貸し〟という仕組みもあるため、いかに効率よく製品を回転させるかが経営上の大きなテーマでもある。
「オペ貸しの場合、代理店を経由して戻ってくるまで1週間程度かかっていたが、ヤマトグループを利用することで〝何がいつ戻ってくるか〟という情報が入ってくるようになった。例えば、午前中に返却されることが分かれば、点検後に午後の出荷にまわすことができるようになるため、より少ない在庫ですむようになる」(平野氏)という。
羽田CG内に拠点を設けたことで海外からの視察も増えたという。「我々の仕事は品質保証など信頼性がなによりも重要。その点からも、ヤマトグループの象徴でもある羽田CGに入居していることは大きなプラスになっている」(黒沼氏)と語る。