ムダ・ロスの多い販促品在庫の問題
必要なモノを、必要な数だけ、必要な場所に、タイムリーに届ける――。まさに物流の〝究極の姿〟だが、その理想に限りなく近いサービスを実現しているのが、ヤマトグループでITシステム構築などを手掛けるヤマトシステム開発(YSD)が展開する「販促品オンデマンドサービス」だ。
販促品とは、企業の営業マンなどが取引先に配布するパンフレットやチラシ、説明書などのこと。特にこのサービス利用顧客の大半を占めている製薬メーカーでは、重要な説明責任を伴う業種ということもあり、MR(医薬情報担当者)が医療機関向けに配布する販促品は膨大な種類に及ぶ。
こうした販促品を欠品させることなく、しかも適正な在庫水準を維持しながらタイムリーに供給していくのが、このソリューションの最大の特長だ。最近ではオンデマンド印刷サービスも導入するなど、サービス領域を拡大しながらさらなる効率化を実現している。
MRとの情報紐づけで販促品の物流を“見える化”
中村弘貴
e-オンデマンドソリューションカンパニー
プレジデント
「製薬メーカーさんから販促品の物流効率化を手伝って欲しい、と言われたのがサービス開発のきっかけだった」と語るのは、ヤマトシステム開発のe-オンデマンドソリューションカンパニーでプレジデントを務める中村弘貴氏。それ以前の医薬品業界では、各営業所が個別に販促品を管理することが多く、さらに欠品が許されない、改版頻度が多いといった事情から、どうしても在庫過多になりがちで、ムダが生じやすい土壌にあったという。また、新版と旧版の管理などが複雑で、各営業所が事務負担を強いられるということもあった。
その解決のために構築されたシステムが「販促品オンデマンドサービス」。このシステムの特長はMR個人単位に情報を紐づけすることで、どのMRがいつ、どのような販促品を、どれだけ出荷依頼したかが”見える化”できるようになったこと。それによりアイテムごとの出荷情報が可視化できるようになり、その分析結果を反映させることで在庫の効率化につなげることが可能になった。
さらに、営業所への配達は宅急便の翌日配達ネットワークを活用することで、営業所は必要最低限の部数だけを在庫すれば済む。「お届けする際も、MRさんごとにセット組みされた状態で配達するほか、講演会などのイベントがある場合でも複数の資料を予めセットされた状態で発送するため、営業所の負担も軽減できる」(e-オンデマンドソリューションカンパニーの櫻井彰人セールスグループマネージャー)という。