”プレミアム”なメンテナンスを羽田CGで実施
【ネスレネスプレッソ】
「ネスプレッソ」。マシーンとカプセルを購入するだけで、家庭で本格的なエスプレッソコーヒーを楽しめる手軽さが受け、近年、国内でも急速に普及を続けているプレミアムブランド。
同社がマシーンの修理業務をヤマトグループに委託したのは2014年5月。それ以前から配送はヤマトグループに委託していたが、羽田クロノゲート(羽田CG)の稼働を機に、修理業務も一括して任せる体制に切り替えた。
鶴田幸倫
テクニカル&クオリティーディレクター
ネスレネスプレッソの鶴田幸倫テクニカル&クオリティーディレクターは「以前の体制では、お客様から修理品をお預かりして、修理後にお届けするまで最短で6日程度かかっていた。現在は、月曜日にご連絡をいただければ、その週の金曜日午前中にはお戻しできるようになり、平均して1日以上短縮できた」と語る。
かつては修理を依頼するユーザー、修理センター、ヤマトグループのターミナルという三角形の物流動線だったが、修理センターと宅急便のターミナル機能が羽田CG内に同居するようになったことで、横持ち輸送がなくなり、ユーザーと羽田CGの2点間往復で済むようになったことがリードタイム短縮に大きく貢献している。
また、コスト面でも輸送工程がシンプルになったことで支払い運賃が大幅削減された。「販売の増加に比例して修理件数も増えているのに対し、物流コストを含めたテクニカル部門の予算は変わっていない」(同)という。
「当社は世界最高級レベルのコーヒー豆を使用するなどプレミアム感を大事にしている。当然、修理をはじめとするお客様へのケアについてもプレミアムでなければならない」と鶴田氏。そのため、修理品の引取りや配達には樹脂製の専用通い箱を使用しているほか、単なる故障修理だけでなく、新品同様に清掃したうえで返却するなどきめ細かい配慮を重視している。
「ある時、お客様から『戻ってくるのが早過ぎる。修理していないのではないか』という苦情をいただいたことがある。おそらく、お客様の予想を上回るスピードでお戻しできたためだと思うが、そうしたプレミアムなサービス水準を実現できたのは、ヤマトグループのおかげ」と語る。
それ以外にも、羽田CG内に修理センターを移した利点は多い。モノづくりの中心である東京・大田区という地の利もあって、修理スタッフの確保がしやすいこと。また、食に関係する業種であるため、羽田CGの堅牢なセキュリティシステムはフードディフェンスの面からも魅力だという。鶴田氏は「スイス本社の技術部門のトップが視察に来た際、『おそらくここが世界№1の修理センターだ』と囁かれた」と打ち明ける。
今後の課題のひとつとして、貸出機の当日配達をテーマに挙げる。ネスプレッソでは修理品を引き取る際に、代替として貸出機を提供しているが、「故障が発生して翌日に引き取るまでの間、コーヒーをお飲みいただけない時間が生じてしまう。今後は大都市圏を中心に、故障が起きた当日中に貸出機をお届けする仕組みをヤマトグループと一緒に考えていきたい」(同)。
また、同社のコーヒーマシーンはすべてスイスなど海外生産であり、修理に必要な部品なども海外から調達している。「現在は当社が発注や輸入通関なども行っているが、今後はヤマトグループに部品のオーダーや在庫管理もお願いできれば当社の業務軽減につながる」(同)と展望している。