「羽田クロノゲート」物流棟の最新設備。高速で動く本線のベルトコンベアの荷物のスキマを狙って、右からの荷物が「合流」する
ヤマトグループの巨大な最新物流ターミナル「羽田クロノゲート」(東京・大田区)。この見学コースが開始から1年半以上経つが、依然予約が取れないほどの人気ぶりだ。家族連れだけでなく、経営者や物流担当者も続々と詰め掛けている。その背景には、ヤマトホールディングスが狙う新サービスへの新たなマーケティング戦略があった。
顧客への感謝の気持ちから
見学コースを発案
羽田クロノゲートは、ヤマトグループの機能を集結し、宅急便の即日配送に加え、洗浄や印刷、修理、メインテナンスなど多彩な付加価値機能をワンストップで提供する、まったく新しい物流施設だ。名前の「クロノゲート」は、ギリシャ神話の時間の神「クロノス」と、国内と海外をつなぐ「ゲートウェイ」(門、出入り口)にちなんでいる。2013年10月に稼働後、14年2月から見学コースがオープンした。
「実は設計段階では見学コースの計画はなかったんです。ですが、こうした広大な物流拠点を持てたのもお客様のおかげです。ヤマトグループにとっては“人すべてがお客様”。感謝の気持ちを込めて、皆様に喜んでいただくとともに、これからのヤマトグループがどんなお手伝いをできるのか理解してもらえるようなショーケースの役割も担う見学コースをつくろうということになりました」(片桐章裕・ヤマトホールディングス広報戦略担当シニアマネージャー)
急きょ、国内外の他社の見学コースを視察した片桐氏は次の点にこだわったという。
「最も感心したのは、業界のプロでも答えに窮するような質問にもスラスラと答えるスタッフの存在でした。当社もそれを見習い、宅急便だけでなく、グループ各社の業務に精通し、どんな質問にも答えられるように努めています」