法人向けの
マーケティング拠点としても

ヤマトホールディングス
広報戦略担当アシスタントマネージャー
羽田クロノゲート見学コース
神地秀樹氏

 平日は家族連れよりも、この「物流改革」を視察する目的で訪れる法人の見学のほうが多いという。

 そのため、冒頭で触れた通り、見学コースの案内はグループ企業の全業務に精通したアテンダントが担当している。セールスドライバーをはじめ、さまざまな業務経験を経て広報戦略担当へ異動してきた、神地秀樹・アシスタントマネージャー(写真)もその一人だ。

「私たちが企業の方に伝えたいのは、手術用器具を洗浄できることだけではありません。最も肝心なのは“ヤマトグループならこんな物流改革ができる”と、見学に来た皆様に知ってもらうことです。また、お客様がどんな点に興味を持っているのか常に観察し、グループ各社との“架け橋”になれるよう、心がけています。事務棟にはグループ15社が入っていますから、場合によっては電話で担当者を呼び出し、説明に来てもらうこともあります」

「バリュー・ネットワーキング」構想といっても、言葉だけではいま一つ伝わりにくい。そこで、ビジネスユーザーに羽田クロノゲートで「物流+付加価値機能」の新たなサービスを直接見てもらい、理解を深めてもらおうというわけだ。

 たしかに、平日わざわざ足を運ぶビジネス関係者は、見込み客としてかなり有望に違いない。実際、「こういうことをやっているのなら、当社もこの業務をヤマトグループに任せられるんじゃないか」と、相談を持ちかけられるケースが増えているという。巨大物流センターの見学コースは、ヤマトホールディングスが狙う物流革命のマーケティング拠点でもあったのだ。

(取材・文/河合起季 撮影/宇佐見利明)