多彩な最新設備で
仕分け数が従来の2倍に
24時間稼働の羽田クロノゲートは、国際化した羽田空港をはじめ、陸・海・空すべての輸送モードを利用できる恵まれた立地にある。物流棟は、延床面積19万7575平方メートル、東京ドーム約4個分という広さだ。7階建てで、1階には100台以上の大型トラックが同時に着車できるターミナルがある。1~2階が最新鋭の物流機器による宅急便の仕分けエリア、3~7階は後述する多彩な付加価値機能を提供するエリアとなっている。
荷物を高速で移動させながら仕分ける「クロスベルトソーター」や、上の階で流通加工した荷物を仕分ける「スパイラルコンベア」など、最新設備によって仕分けスピードは大幅に向上した。1時間で仕分けられる荷物の数は最大で4万8000個と、これまでの約2倍に。さらに、同社の沖縄国際物流ハブを経由したアジア各国への翌日配達ネットワークも備えている。たとえば、日本海で獲れた海の幸を翌日、アジアの国々に運ぶことも可能なのだ。
約90分の見学コースでは、これらの最新物流設備を間近で見たり、ヤマトグループの歴史や宅急便の仕組みなどを学ぶことができる。オープンから1年半経った今でも大人気で、今年6月から週末と休日はコースの数を1日4回から6回に増やしたほどだ。
「物流+付加価値」の
新サービスとは
ここで、同社が提供している、物流に付加価値機能を加えた新サービスを紹介しよう。
例えば、「壊れた家電製品を家庭から回収し、この施設内で修理して返却する」「施設内で印刷したパンフレットなどを発送する」といったものだ。
また、「手術用器具を病院から回収し、ここで洗浄・メインテナンスした後、次に使う病院に届けるサービス」も行っている。
高額な手術用器具は、病院が医療用器械メーカーからレンタルし、手術後、返却するケースが多い。ヤマトグループはこのサービスにより、医療機器メーカーから手術用器具の物流に加え、洗浄という仕事も獲得したわけだ。もちろん、医療機器メーカーにとっては大きなコストダウンになる。
「多くの企業では、すでに製造コストや人件費は限界レベルまで切り詰められています。そんな中、生産からエンドユーザーが手にするまで、全部をひっくるめた形で最適化する『物流改革』は、コスト削減の余地が残っている最後の領域。グループ力を結集して、この物流改革を提案するのが、今推し進めている『バリュー・ネットワーキング』構想です」(片桐氏)