地元の信用金庫が
オープンデータを活用

 地元の横浜信用金庫が地域への貢献を目指し、ダブルケア支援のために、介護・育児関連のオープンデータを活用している例もある。

 具体的には、ダブルケアの負担を抱える市民に対して関連するサービスなどを展開する事業者や新規開業者をサポートするために、横浜信用金庫が情報の仲介役となってオープンデータの目利きや加工を行い、有効な情報を提供。さらに、横浜信用金庫が持つ経営相談や事業支援のノウハウを活用しながら、ダブルケア産業の育成を目指すという具合だ。

「同じ横浜市の中でも、人口が増加している北部は子育てや教育などに関する課題がある一方、人口が減少している南部・西部では高齢化に伴う地域のつながり、生きがいといったことが課題となってきています。地域によって異なる課題にも、オープンデータを活用できる余地はあると考えています」

マーケティングの視点を
行政に取り入れる

 加えて、横浜市ではいま、市のウェブサイトの再構築作業を進めている。43区局ごとに管理しているサイトを一本化し、サイト内のメニュー体系やトーン・アンド・マナーを統一する方針だ。スマートフォンなどマルチデバイスへの最適化も図る。

 さらに、「オープンデータを一覧で検索できる本格的なデータカタログ」を整備するとともに、重要な政策課題や地域課題に応じて横浜市の現況や資源を“見える化”する「ヨコハマ地域力ポータルサイト」(ウェブ版市民生活白書)も立ち上げる予定。データとともに行政が認識している課題を提示し、民間と協力した地域課題解決策やデータを活用した地域ビジネスを生み出したいという狙いがそこにはあるようだ。

 マーケティングの視点を行政に取り入れた横浜市。利用者の立場でサービスを改善し、データを客観的に測定する試みが続いている。

(取材・文/河合起季 撮影/有光浩治)