資金の可視化は
内部統制強化にも結び付く
海外子会社は、それぞれの国・地域の銀行に口座を開いている。それらの銀行に親会社がリモートでアクセスし、入出金や残高の情報を海外子会社を介さずに直接入手する口座管理システムが内部統制上非常に効果的である。いわゆる「マルチバンクアクセス」である。
この仕組みがあれば、仮に子会社からの報告に不正や誤りがあったとしても、早期に発見が可能となる。「子会社からの報告で、あると当てにしていた資金が実際にはなかったといったリスクが減り、海外子会社の財務をモニタリングすることによって強力な牽制効果、抑止効果が期待できる」と副島氏はその効果を語る(上の図表参照)。
また、各子会社の取引銀行のシステムに直接アクセスできれば、資金移動や外国為替といった取引を本社側から行うことも可能だ。
海外から本社に余剰資金を集めるだけでなく、資金に余裕のある海外子会社から、不足している別の子会社にローンを行ってグループ内の資金偏在をなくすといったことも、グループ全体の資金状況を見渡しながら機動的に行える。為替や金利の急変動にもスピーディに対応できるはずだ。
だが、一般に銀行が提供するキャッシュマネジメントシステムは、その銀行との接続に特化されているので、海外にある子会社が取引している銀行口座にアクセスすることはできない。
そうしたなか、先見的なCFOが注目しているのが、キリバが提供するトレジャリー・マネジメント(財務管理)アプリケーション「キリバ・エンタープライズ」である。